ステレオの産業史|グレース
カートリーッジとアームの専業メーカーとして、
長らく業界のトップであったグレース。
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GRACE 品川無線株式会社


グレース F-45D
1960(昭和35年)
F-45D MCカートリッジ  価格不明
わが国初のステレオMCカートリッジとして登場。
 前年に登場したオルトフォン「SPU」をモデルにしてつくられたことは、ほぼ間違いないだろう。ステレオレコードが発売されて、まだ2年そこそこ。ステレオレコードは音が歪むとか、セパレーションがどうとかと、騒がれていた時代に、まともに鳴るMC型を初めて誕生させた功績は大きい。
初期モデルは針圧6グラムであったが、間もなく2.5グラムの軽針圧タイプを登場させて好事家を驚かせた。
またこの年、DENONでもNHK技研と協同で、局用のステレオMC「PUC-7D」を初めて完成させている。

グレース F7
1962(昭和37年)
F-7 MMカートリッジ ¥12,500
シュアーの「V15」よりも一歩早く、
パーティカルトラッキングエラーの問題に
取り組んだMMカートリッジ。
 レコードの原盤となるラッカー盤に音を刻むときの角度 (パーティカル) は15°で、 カートリッジの針先の角度もそれに合わせれば、トラッキング・エラーを減少させ歪を減らせる、ということに気付いて最初に実用化したのが、この「F-7」であった。
 しかし、グレースは、それを宣伝に巧く活かすころができずに、評価では、シュアーの「V-15」に先を越されてしまっ
た。ともかく、日本の大方のカートリッジが、 半ば暗中模索の出たとこ勝負で音を作っていた時代に、「F-7」は理論を裏付けにした最初の軽針圧カートリッジといえる。この成果が「F-8L」の成功に繋がった。

グレース F8L1966(昭和41年)
F-8L MMカートリッジ  ¥12,500
リファレンス・スタンダードと呼ぶにふさわしい
国産MMカートリッジの代表モデル。
 マニアなら必ず一つは常備したMMカートリッジの定番として、これと肩を並べる国産カートリッジは、そうざらに見当たりない。NHK技研との協同開発というレッテルはさておき、当初は「F-8L」を「お茶漬けの味」と揶揄していた某評論家たちも、「ステレオサウンド」誌、第12号の「カートリッジ・ブラインド試聴」で、 並みいる内外の好敵手を相手に、総合点でトップの評価を知って、わが耳を疑ったに違いない。
 ところで、この評価に気を良くしたグレースは、音楽性を追求した「F-8M」とか、プロ専用の「F-8D」とか、いわゆる便乗モデルを相次いで発売したが、やたらと角を丸めた鈍い音でこれには失望した。

グレース F-8C1969(昭和44年)
F-8C MMカートリッジ  ¥16,500
F-8Lの分解能をさらに高めたその音は、目の前の視界が開けた感じ。
 RCAビクター盤のグリークのピアノ協奏曲に針を降ろし、鳴りだした瞬間の鮮烈な印象は忘れることがない。しかし、長時間聴くと聴き疲れすることもあり、「F-8L」のような万能タイプではない。なかでも、硬質な録音がいわば特長の、ドイツグラモフォンのレコードとは相性が悪かった。

グレース G-545
1968(昭和43年)
G-545 スタティック・バランス・トーンアーム  ¥13,000
必要にして十分な調整機能とS字型アームの美しいフォルムに好感。
 機能を追求して生まれたフォルムには、おのずと鑑賞に値する美が備わる。コンポーネント・プロダクツでそれを一番強く感じるのがトーンアームではないだろうか。当時、イギリスの「SME」の影響で、手の込んだ高級アームに注目が集まるなかで、「G-545」の必要にして十分な調整機能と美しいフォルムは、なかなかのものであった。

グレース G-714
1977(昭和52年)
G-714 
ワンポイント・サポート・オイルダンプ・トーンアーム  ¥29,500
チーク材を使用した独特の雰囲気は得難い。トレーシング性能も優秀。
 新興メーカーでは、およそ発想しえないトーンアームであることがまず目を惹いた。以前、「G-704」」という、ワンポイント・オイルダンプ・アームを登場させたグレースが、ほぼ10年の歳月を経て復活させたモデルだけに、その自信のほどが伺える。パイプアームを見慣れた目には違和感もあるが、チーク材は余分な微振動を吸振し、さらにオイルでダンプするといった細心の配慮が、ワンポイン・サポートの高感度設計を安定に動作させ、優れたトレーシング性能を可能にしていた。


グレース雑感

 グレース(品川無線)がいつごろ創業したかは、確かな資料がないので不明だが、モノラルレコードの時代に、広く普及したワンポイント・オイルダンプ・アーム「G-180」があったというから、LPの登場した1951年以降ではないだろうか。 ’60年代には、オーディオ評論でも注目されだした瀬川冬樹氏がカートリッジやアームのデザインを。長島達夫氏がその開発設計に携わっていた記録は残されている。 ちなみに、ここで紹介したMMカートリッジ「F-7」の設計者は長島達夫氏であった。
 グレースには面白い気風があったようで、役員の一人、朝倉氏はオーディオ解説や評論分野の草分けであったし、ヒ
ットモデル「F-8L」の設計者、森芳久氏は後にソニーに転出し、これまでにない8の字コイルによるMCカートリッジを編み出した。現在は某大学の教授の職にある。
 デジタル革命によって、CDが登場するや、レコードは5年余りで駆逐され、多くの関連メーカーが次々と廃業に追い込まれた。勿論グレースも例外ではない。ただ不思議に思うのは、「グレース」という業界一のブランドを築き上げて来たにも関わらず、事業存続の手だてを講ずる風もなく、成り行きに任せて看板を降ろしたことにある。まあ、それも、時代の趨勢と言ってしまえば、それまでのことではあるのだが・・・。


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