ステレオの産業史|ラックス
ディレッタントを魅了した見事な意匠とラックスイズム。
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LUX ラックス株式会社(現・ラックスマン株式会社 / IAG)

 ラックス SQ5B
1962(昭和37年)
SQ5B
 管球 インテグレーテッドアンプ  ¥35,000
正統たる評価を得たラックス初の
ステレオアンプ。
 当時、数少ない国産ステレオアンプは、多かれ少なかれ、動作に不安定なところがあったらしく、モノラル派のステレオ慎重論になったと言われる。ところが「SQ5B」は違ったようで、ハイフィデリティーの見地から正統に開発された初のステレオアンプとの評価を得ると、多くの愛好家に受け入れられた。しかも、ご覧の通りの一風変わったデザインで、今でも記憶に留める人は多い。なお、SQ5Bに搭載されたOYシリーズの出力トランスは、’61年大阪デザインハウスの最優秀賞を受賞した。
実効出力:14W✕2(16Ω) 消費電力:115W 外形寸法:W390×H155×D290mm 重量:11.2kg


ラックス 30H112
1962(昭和37年)
30H112
 密閉型 3ウエイ 3ユニット・スピーカーシステム  ¥36,000(左右対称型1台)
ラックスの定例ステレオコンサートで活躍した3ウェイシステムの本格派。

 この年、ラックスは東京に進出(本社は大阪)。それを機に、東京と大阪で月一回のステレオコンサートが開催されることになった。そこで使われたのが、自社開発による初のシステム「30H112」である。当時としては、かなり手の込んだ本格的なつくりで、大型マグネットによる30cmウーファーをベースに、折り曲げホーンのスコーカーとホーンツイーターを組み合わせた3ウェイの本格派で、レベル調整のアッテネーターは付属せず、ネットワークを含めたシステム全体で、最適のバランスをとっていたところに、ラックスの自信が感じられた。
使用ユニット:30cmウーファー、ホーンスコーカー、ホーンツイーター 再生周波数帯域:40〜17,000Hz 
クロスオーバー周波数:600Hz、3,500Hz インピーダンス:8Ω 
外形寸法:W520×H850×D380mm 重量:31kg



ラックス MQ36
1966(昭和41年)
 
MQ36 OTL管球式パワーアンプ  ¥128,000
設計技術者のセンスの良さが一目で見て分かる世界水準のOTLパワーアンプ。
 この年には、テクニクスのOTL管球パワーアンプ「Techics 20A」も登場してマニア諸兄を唸らせた。
唯、デザイン面でみれば、ラックスの方が遥かに素晴らしく、ゆったりとしたシャーシーに組まれたセンスの良さと、ダークグレーとメタリックのコントラストは、見るものの足を止めて惹き付けた。
残念なのは、同社のプリが「MQ36」の水準に至ってなかったこと。厄介なのは、夏場の放熱対策であった。
実効出力:25W✕2(16Ω) 消費電力:不明 外形寸法:W505×H192×D280mm
重量:18.7kg

ラックス SQ38F
1968(昭和43年) 
SQ38F 管球式(3極管)インテグレーテッドアンプ  ¥78,000
初代「SQ38」の型番を受継ぎながら、内容一新で生まれ変わった3極管アンプ。
 球とTRアンプの優位論争が喧しい中で、TRアンプの可能性は着実に定まりつつあった。そうした時期に、あえて3極管ラックス SQ38Dの新しい可能性を引き出して成功したのが「SQ38F」である。
 その音は、初代モデル「SQ38」(写真右)のややひ弱な音を一掃するもので、ほど良い分解能と艶ややか表現力は、相性の良いスピーカーを音楽性豊かに鳴らしてみせた。 以降、 3年ほどの周期で手が加えられ、新たな支持層を広げていった。
実効出力:30W✕2(8Ω/16Ω) 
消費電力:130〜200W 
外形寸法:W476×H190×D335mm 
重量:18kg




ラックス SQ505
1968(昭和43年) 
SQ505 ソリッドスッテート・インテグレーテッドアンプ  ¥58,000
TRアンプの確かな進歩を音で実証した立役者。
 ラックスが半導体のステレオアンプを発売したのは、どこよりも早く、1963年にその1号モデル「SQ11」を登場させている。ところが、TRアンプの本格的な到来を迎えると、反対に慎重な姿勢を見せた。これは、時代に迎合することを正統としないラックス流の最善主義なのである。
 そうした意味で、この「SQ505」は満を持して開発されただけに、同時代のTRアンプの弱点を見事に克服していた。また、操作性の良さとそのデザインは、ラックスらしく秀逸で、翌年の「大阪デザインハウス」選定の最優秀賞を受賞。
実効出力:30W✕2(8Ω)、40W+40W(4Ω) *消費電力:12〜100W 
外形寸法:W451×H147.5×D268mm 重量:10.5kg


ラックス PD1211975(昭和50年) 
PD121 
ダイレクトドライブ・タンテーブルシステム ¥135,000(アクリルカバー付、SME用アームベース付属、アーム別売)
簡潔で洗練されたデザインと使い易さ。本来、レコードプレーヤーはこうあるべき。
 このモデルのモーターユニットがテクニクスの「SP-10」であることは良く知られている。それをこれほどまでに簡潔で洗練されたデザインに仕上げたところが何とも凄い。優れたプロデュース感覚の人間がいなければできない仕事だ。アームベースは数種類用意されていたが、「PD121」を使う以上は、誰が何と言おうと「SME」との組み合わせがベスト。当時、軽針圧動作において、写真の「SME3009」を凌ぐ国産アームは珍しくなくなっていた。しかし、他のアームでは、この魅力ある雰囲気が台無しになる。
ターンテーブル:アルミダイキャスト30cm、2.5kg 駆動方式:ブラシレスDCサーボモーターによるダイレクトドライブ方式 
外形寸法:W471×H160×D372mm(アクリルカバー含む) 重力:14kg


ラックス LX38
1978(昭和53年) 
LX38 管球式(3極管) インテグレーテッドアンプ ¥198,000
菅球アンプの味わい再び。デザインも細部でリファインされた。
 「SQ38F」の登場から10年。その間、マイナーチェンジの雑誌記事に目は通しても、今さら球のアンプでもあるまいと、醒めた感じであったのが、「LX38」の登場で、また菅球アンプの新しい発見をさせられた。ラックス LX38最新のTRアンプの切れ込みのよさに、やはり、球独特のウェットで艶っぽい魅力は、他のアンプでは得難いものであることが、レコードを聴き込むにしたがって、じわじわと分かってくる。
 2年後に「LX38 ultimate」(¥300,000)と名付けられた限定生産モデルが出るが、それ以降の継承モデルは、設計者が代わったようで、これまでの個性と魅力は影を潜めた。というわけで、栄光の38シリーズは、「LX38」をもって完結したと思っている。
実効出力:30W✕2(4Ω/8Ω)、25W+25W(16Ω)
消費電力:150W 外形寸法:W440×H162×D343mm
重量:20.1kg


ラックス L33
1979(昭和54年) 
LX33 管球(3極管) インテグレーテッドアンプ ¥138,000
キットで好評だったモデルを完成モデルとして発売。簡潔で機能的なデザインは秀逸
 音の鮮度とということを念頭に、上記の「LX38」と比較すれば、やはり甘口の響きである。ただ、それが弱点とならないところが菅球式の良さであろう。ドライブするスピーカーは、メーカー製のブックシェルフタイプよりも、素性の良いフルレンジユニットを大きめの箱に入れて鳴らしてみたいアンプであった。
実効出力:30W✕2(4Ω/8Ω)、25W+25W(16Ω)外形寸法:W450×H158×D325mm 重量:19kg


ラックス MS-10
1979(昭和54年) 
MS-10 マルチベントチューニング型 2ウェイ2ユニット・スピーカーシステム ¥38,000(1台)
イギリス系スピーカーの気品に通じる、融け合う響きの美しさ。
 本来が、流行りものの音楽をハイパワーで鳴らすべきスピーカーではない。そのため、相性の良い楽曲は、比較的小編成なクラシック系のもの、ということになる。そうした制約はあっても、その響きには、国産のスピーカーらしからぬ気品がある。ウーファーのコーン素材は、イギリスB&M社のシステムに見られる、ポリアミド繊維と同種のアラミド繊維が使われている。また、ドームツイーターも、見かけはイギリス系のシステムによく見られるものだ。そうした詮索はともかく、全体の意匠を含めて、よくまとめられていることに感心した。なお、カタログ表示にあるマルチベントチューニング型という箱の形式は、一般的に言われるディストリビューテッド型と同種のものである。
使用ユニット:20cmウーファー、2.5cmドーム型ツイーター 再生周波数帯域:50〜20,000Hz クロスオーバー周波数:3,000Hz
インピーダンス:6Ω 外形寸法:W250×H540×D260mm 重量:11.5kg


ラックス PD300
1980(昭和55年) 
PD300 
レコード吸着方式 ベルトドライブ・ターンテーブルシステム ¥163,000(アクリルカバー付、アームベース及びアーム別売)
ラックスが世界で初めて試みたレコード吸着方式の二代目。
 昔のレコードはそれなりに厚く反りも少なかった。それが輸送コストを最優先にした結果、レコードは薄くなった。当然反りが気になる。そこに目をつけたところに説得力がある。最初のモデルはアーム2本仕様の大型のもので、吸着はモーターに頼ったが、本機では、ケース前面のレバーによる手動式に変わり、吸着がより早く確実になった。
レコードを吸着して、重量級(3.5kg)のターンテーブルと一体化する効果は大きく、スクラッチノイズすら軽減させることができる。
ターンテーブル:アルミダイキャスト30cm、3.5kg、駆動方式:ブラシ&スロットレスDCサーボモータによるベルトドライブ方式 
外形寸法:W490×H200×D372mm(アクリルカバー含む) 重力:18kg



ラックス L550
1981(昭和58年) 
L550 
ピュアAクラス インテグレーテッドアンプ  ¥250,000
ラックスとしては珍しいフル装備機能のピュアAクラス・インテグレーテッドアンプ。
 前面に各入出力端子があるのは大変便利だし、イコライザーからダイレクトにパワーに直結できる機能も大変好ましい。そうした豊富な機能が、実に巧く処理されてまとめられている。この頃のラックスは、アルパインの傘下にあり、積極的に新しいラックスユーザーを掘り起こそうとする意欲に溢れた製品企画であることに感心した。
実効出力:50W✕2(8Ω) 消費電力:310W 外形寸法:W453×H174×D460mm 重量:21.4kg


ラックス L5701989(昭和64年) 
L570 
ピュアAクラス インテグレーテッドアンプ  ¥350,000(消費税別)
ラックスという稀なる遺伝子を受継いだインテグレーテッドアンプの終着点。
 インテグレーテッド・アンプのハイグレード化路線はサンスイが定着させ、それにラックスが続いた。サンスイが強力な電源部とハイパワーで支持を集めたのに対し、ラックスはピュアAクラスに徹して、その成果を「L570」に結実させた。勿論、通常の使用でピュアAクラスゆえのパワーが弱点になることはない。もっとも、このクラスともなれば、大きさ、重量、消費電力等で、インテグレーテッドアンプの限界といえる。その点を理解して選ぶ必要はあった。
 残念なことに、この「L570」が発売されたてから5年語、ラックスは、アルパイン傘下から韓国のサムスン電気に買収された。そうした意味でも、ラックスという稀なる遺伝子を受継いだ最後のモデルとなった。
実効出力:50W✕2(8Ω) 消費電力:270W 外形寸法:W438×H176×D467mm 重量:30kg


ラックス雑感
 こうして、ラックスの秀作を並べてみると、例外はあるにしても、日本離れした気品と上質なセンスに溢れている。これは、日本のオーディオ専業メーカーとしては稀有な事であり、また、広告の文章表現においても、他社とはまるで異なっていた。
 ラックスの前身である菊水堂ラジオ部(大阪)の創業は、1925(大正14)年のことで、創業者、早川迭雄氏の生まれ育った家風は、文明の利器をどこよりも早く輸入して、生活に取り込むことにあったという。いわば、早くして欧米の文化と接触していた創業者の生活意識がラックスの気風として強く根付いたのであろう。それは、戦後の経済成長とステレオ産業の勢いを背景に、イケイケドンドンと駆け上がった企業とは根本的に異なるもであった。加えて、オーディオパーソンに影響を与えたオーディオ・ジャーナリズムの隆盛が、ラックスを「国産アンプの名門」に位置づけることになった。
 しかし、「アンプの名門」といえども、オーディオ不況という時代の変化に抗しきれるものはない。1980年代には電子部品の最大手、アルプス電気の傘下に。さらには、アルプス電気グループのアルパインと提携し、「LUX」から「ALPINE/
LUXMAN」となり、販売戦略の抜本的な見直しがはかられた。それでも、ラックスのポリシーは確固たるものとして受け継がれてはいた。しかし、1990年に韓国のサムスンに経営権を譲渡。それから9年後、サムスンは、香港のグランドバーというファンドにラックスを売却してしまった。
 そして2009年、中華人民共和国の広東省深圳(シンセン)市に本拠を置くIAG ( International Audio Group) の傘下に入り、現在に至っている。そこで、旧ラックスの気品と上質なセンスが、現在のラックスマンに継承されているか、というと甚だ疑問なのである。というよりも、音楽産業がITの情報技術によって変容を余儀なくされた結果、オーディオも、僅かな音の差に対価を投じることへの意義そのものが失われつつあるのである。


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INDEX

1881〜1945
立体音の発見と
二つの源流

1946〜1957
日本の戦後復興と
Hi-Fiへの熱き試み

1958〜1965
幕を開けた
ステレオの時代

1966〜1970
開花する日本の
独創技術

1971〜1980
4チャンネル騒動と
成熟の頂きに立った
コンポーネント

1981〜1990
AV時代の到来と
CDの登場
INDEX

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EROICA & UESUGI
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SONYSTAXTECHNICS
TRIO & KENWOOD
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