ステレオの産業史|オンキョー
ノンプレスコーン・ユニットを使用したラジオの
音の良さで名声を築く。
2015年、パイオニアのAV部門を買収。
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ONKYO オンキョー株式会社(現・オンキョー & パイオニア)


1968(昭和43)
オンキョー「SCEPTER」ユニットの誕生。
オンキョー E-83 Mark-3
 戦後創立の大阪音響は、特許技術のノンプレスコーンユニットを使用したラジオの音の良さで、一躍名前が知られるようになった。
 1968年、 オーディオ産業が将来の成長株と目されたころ、突如登場して話題をさらったのが、ホーンユニット搭載の「E-83A」(¥43,000)であった(右のモデルはその3代目)。この「E-83A」は、創刊間もない「ステレオサウンド」誌の試聴テストで、3人のテスター諸氏が『ホーンスコーカーで、こんなにクセのないのは、お目にかかったことがない』と絶賛。
 ここに、SCEPTER(王位)の名を冠したホーンユニットがベールを脱いだのである。オンキョーは当時、世界一のスピーカーを目指す、という、並々ならぬ決意があったらしく、 昭和37年には、アメリカのスピーカーの実情を視察したりして、ホーンユニットの研究開発をスタートさせている。この時代はというと、アンサンブルステレオ全盛の時期で、わが国にオーディオとか、コンポーネントなどという言葉そのものが、定着していなかった頃の話である。
 かくしてオンキョーは、ホーンユニットとそのシステムによって、独自のポジションを築き上げることに成功した。

オンキョー W-30A
1968(昭和43)
W-30A
 30cmウーファー ¥20,000
 当時、コーラルやパイオニアの同口径ウーファ
ーが1万円未満であったから、かなりの高額である。それだけに、ハイコンプライアンス・ウーフ
ァーにありがちな、反応の鈍さがなく、ホーンユニットとのつながりもごく自然なもので、エンクロージャーとの適合性も広く、扱いやすいウーフ
ァーであった。


オンキョー HM-500A1968(昭和43)
HM-500A ホーンスコーカー  ¥11,000
 ホーンは、教科書通りにつくれば、計算どおりの特性が得られる。しかし、良い音となると、そうは簡単にいかぬ。
 基礎データを取っては、それを反映させてヒアリングを重ねる。この手間のかかる工程を経て、この「HA-500A」は完成した。
 カットオフ周波数は500Hz(推奨クロスオ
ーバー700Hz)。それでいて20,000Hzに及ぶ広帯域特性を実現したのは本邦で初めて。ダイアフラムは口径3.5センチのスーパージュラルミン。のちにチタンダイアフラムの高級モデルも登場した。

オンキョー HM-300A1970(昭和45年)
HM-300A
 
ホーンスコーカー  
¥55,000

 当時、JBLよりも人気の高かった、アルテックのホーンは、ダイカスト製の金属を合わせて溶接したラフなつくりであった。
 それだけに、この美しいカーブを描く肉厚のホーンを見たときはなんとも驚嘆したものだ・・・。
 カットオフ周波数は300Hz。ダイアフラムは口径5センチのスーパージュラルミン。


オンキョー TW-8A/AL-8A1968(昭和43)
TW-8A / AL-8A
 
ホーンツイーター ¥11,000  音響レンズ¥ 4,500

 アルミ棒から削りだした肉厚のホーンに、スーパージュラルミンのダイアフラム。
 カットオフ周波数は3,000Hz(推奨クロスオーバー5,000Hz)。低域がへたらないので過大入力に注意すれば、カットオフすれすれでも使える。バッフル取付け用のフランジが付属。
  音響レンズは、JBLの模倣ではなく、独自のデザインを高く評価。また、下記のTW-7Sととも、チタンダイアフラムの高級モデルも登場した。

オンキョー TW-7S1968(昭和43)
TW-7S
 スーパーホーンツイーター  ¥13,900
 スーパーツイーターの必要性を提唱した本邦初のユニット。ただ、疑問がなくはない。というのは、レコードの上限特性は、良くて18,000Hz止まり。プレーヤーの総合的な質が劣れば、FM(上限は15,000Hz)の方が遥かに良質の音が楽しめたからだ。しかも人間の可聴限界は、良くて20,000Hzそこそこ。
 ともかく、このツイーターの性格は、控えめで、楚々とした美しさにある。カットオフ周波数は3,000Hz。上限は40,000Hzで指向特性も良い。
 なお、発売された4ウェイ用ネットワークのクロスオーバーは、10,000Hz
(6dB/oct)に設定されていた。

オンキョー SCEPTER 120
1970(昭和45年) 
SCEPTER 120 
密閉型 4ウェイ4ユニットスピーカーシステム  ¥198,000(1台 / 左右対称型)
カスタムメードのラグジュアリーシステム。
 上記SCEPTERユニットのMARK-IIバージョンを内容積120リッターの密閉箱に納めた豪華版。スピーカーとは正直なもので、同種のユニット納めたブックシェルフタイプの音とは、一聴して違う。箱のつくりも大変立派。ホーンシステムとユニットの成功で波に乗る大阪音響は、翌年、社名をオンキョーに改めた。
使用ユニット:30cmウーファー、ホーンスコーカー、音響レンズ付ホーンツイーター、スーパーホーンツイーター
再生周波数帯域:20〜40,000Hz クロスオーバー周波数:700Hz、6,000Hz、14,000Hz

外形寸法:W920×H685×D490mm 重量:56kg
 
オンキョー HM-4501973(昭和48年)
HM-450A
 拡散ホーンスコーカー ¥24,800
オンキョーのオリジナリティーが光る
拡散ホーンスコーカー。

 通常のセクトラルホーンは、先端部がバッフル面から大きくせりだす。これを無くし良好な指向特性を実現したのが拡散ホーンである。
 ホーンの音道を球面構造にすることで、音波に時間差をつけ、ホーンの開口で球面波にするわけだ。ダイアフラムは口径5センチのスーパージュラルミン。カットオフ周波数は、450
Hz(推奨クロスオーバー600Hz)。
 この上級モデルに、カットオフ周波数が250
Hz (推奨クロスオーバー350Hz) の大型ホーンHM-250(¥115,000)があった。ともに、指向特性は優秀である。

オンキョー TW-1500A1973(昭和48年) 
TW-1500A 
拡散ホーントツイーター  ¥21,800
見てのとおりの精巧なつくり、拡散ホーンツイーター。
 三重構造のホーンを持ち、ホーンの喉元から中程までがショートホーン。その前方が、ホーンの延長と音を拡散するオンキョー TW-1500Aカットモデルディフューザーを兼ねている。ダイアフラムはスーパージュラルミン。
カットオフ周波数は、1,500Hz(推奨クロスオーバ2,500Hz)。バッフル取付け用のフランジが付属 。


オンキョー E-804A1973(昭和48年) 
E-804A 
密閉型 4ウェイ4ユニットスピーカーシステム  ¥128,000(1台)
拡散ホーンを搭載した、
シリーズモデルの最上級システム。

 天板に大理石を使用するなど、SCEPTERの名に恥じな
い風格を持つ。しかし、肝心の音となると、これだけの贅沢なユニットを配しながら、システムとしての音の追い込みに、まだまだやるべきことが残されている、と感じた。 例えば、ソプラノ帯域において、明らかに音がきつく張り出して聴きづらい。長時間鳴らし込んだものを聴けば印象は違っていたのかもしれないが・・・。
 ともかく、音楽的なまとまりと聴きやすさにおいては、中・高音にソフトドームを使用したヤマハのロングランモデル「NS-690」(¥60,000)の方が格は上。
 せめて、時間をかけて練り直し、ネットワークを含めたシステム全体を見直していたら、きっと息の長い、優れたシステムに仕上っていたと思う。
使用ユニット:30cmウーファー、ホーンスコーカー、
 ホーンツイーター、スーパーホーンツイーター
再生周波数帯域:25〜40,000Hz 
クロスオーバー周波数:550Hz、7,000Hz、14,000Hz
外形寸法:W447×H765×D387mm 
*重量:44kg



オンキョー INTEGRA P-303
1976(昭和51年) 
INTEGRA P-303 
コントロールアンプ ¥80,000
全段A球プッシュプル回路と直結給電方式のシンプルプリ。MCヘッドアンプの音質も上々。
 ピュア伝送に徹したシンプルなつくりとはいえ、この価格からは信じられないの質の高さを示す。また、パワーアンプを選ばいところも見逃せない。事実、このプリをエクスクルーシヴの「M4a」と組み合わせてもよかったし、球のアンプとの相性もよかった。オンキョーにとっては、このプリの成功でアンプ設計思想の地歩を固めたはず。
消費電力:20W 外形寸法:W450×H83×D370mm 重量:7.5kg

オンキョー SCEPTER SYSTEM SPEAKER1977(昭和52年) 
SCEPTER
SYSTEM SPEAKER

ユニット、交換用バッフル、
エンクロージャー、
ネットーワーク、などなど。
そのシステム例は、
なんと173通り。
  「SYSTEM SPEAKER」の登場を見たとき、 せっかくの拡散ホーンをあっさりと捨て去ってしまっ
たことには失望した。
 この新しいシステムの構想が、JBLを手本に生まれたことは誰の目に明らかで、オンキョーが、これまでに築いてきたオリジナリティーからは、後退してしまった感がある。
 このことに目をつむれば、これほどの陣容を比較的短期間に、まとめあげた技術者たちの努力と忍耐力は、並々ではない。
 ホーンスコーカーは、ホーンとドライバーの一体型を改め、予算や目的に合わせて、個々に選択できるようになった。
 エンクロージャーは、200ℓと135ℓの2種類。それにオプションの交換用バッフルを選べば、目的にあったシステムが完成する。 ユニットに対応するネットワークは、ハイパス、ローパスの各種フィルターが用意され、基盤ケースに差し込むだけ、という用意周到さであった。
オンキョー システム・スピーカー・システムブック また、左記のレイアウトブックの徹底ぶりも驚くもので、「SYSTEM SPEAKER」173通りの組合わせ例が詳細に完全網羅されている(1部1,000円)。
また、上記システムのユニットによる最高級システム「SCEPTER500」(1台¥580,000)も登場。 さらに7年後には、オンキョー・ホーンテクノロジーの集大成ともいえるダブルホーンウーファーによる2ウェイ「GRAND SCEPTER GS-1」(1台¥1,000,000)の登場を見るが、すでに、オーディオ界には、不況の風が吹き荒れていた。

オンキョー SL-11978(昭和53年) 
SL-1 

重低音
用サブウーファーシステム
¥150,000
(PWM方式パワーアンプ内蔵)
本邦初。重低音の夢が叶う
サブウーファーシステム。

 マニアの重低音願望は、昔から熱くあった。芥川賞作家、五味康祐氏は、コンクリ
ートホーンを部屋に設え、重低音の吹き抜ける様に『重低音でバスタオルが震えてみろ。たまらんぞ』と悦に入った。
 マニアはあの手この手で、重低音の再生に挑むわけだが、何せ、べらぼうなコストがかかる。また、それがマニアの夢だったのである。 
 さて、サブウーファーシステムはアメリカで登場したもので、当時のわが国では、まだ知られてなく、それだけに注目を集めた。既存のシステムに1台加えるだけで、手軽に重低音の夢が叶う。使用法はいったて簡単で、既存アンプの出力をこのSL-1に繋ぎ、後はレベルとハイカットのクロスを調整するだけだ。いわゆる3D方式で、100Hz以下の重低音には指向性がないため、理論的にはどこにでも置ける。とはいえ、まだアナログの時代。重低音で生じるハウリングには十分な配慮が必要であった。
 内蔵アンプには、当時、実用化されたばかりのPWM (パルス幅変調)方式のアンプが使われた。パワーロスがなく消費電力が少ないため発熱量が低い、密閉型のエンクロージャーに搭載するには最適である。このアンプが20センチ口径のユニットをドライブし、エンクロージャー正面のパッシブラジエターを振幅させて、20〜90Hzの重低音を再生するという仕掛けだ。
 ところで、サブウーファーが広く認知されるのは、レーザーディスクの普及とAVアンプの登場で、ホームシアターへの関心が高まってからのことである。それだけに、DVDが登場すると、各社からサブウーファーが一斉に登場した。
パッシブラジエター:38cm平面型 再生周波数帯域:20〜90Hz *ドライバーユニット:20cmコーン型
アンプ実効出力:60W カットオフ周波数:60Hz、70Hz、80Hz 消費電力:70W 
外形寸法:W620×H483×D411mm 重量:38.5kg

オンキョー SCEPTER 20021990(平成2年)
SCEPTER 2002
バスレフ型2ウェイ2ユニット
スピーカーシステム ¥200,000(1台)

CDが音楽ソースの主流になり、
途絶えていたホーンユニット搭載の
モデルが久びさに復活。

 CDの急速な普及は、オーディオ不況にいっときの光明をもたらしたが、若年層のオーディオ離れは、より一層深刻になり、かつては、憧れとされた大型システムも、関心の対象から外される運命をたどりつつあった。
 そこに登場したのが、このモデルといえよう。ホーンの構造はカットモデルで分かるように、完璧ともいえるデットニング構造で、素材にはFRP(プラスチックとガラス繊維などを混ぜた複合素材で優れた硬度を有す0を使用。また、エンクロージャーの強度も凄い。
 音はセンシティブで明快。バスレフのチュニーニングも良く、音のつながりは自然で伸びやかである。
 このデザインが、久びさに復活のモデルに相応しいかはともかく、この黒一色のフィニッシュは、あのSF映画の名作に登場するモノリスを思わせた。
使用ユニット:28cmウーファー、ハイポリックホーンドライバー 再生周波数帯域:20〜25,000Hz 
クロスオーバー周波数:1,200Hz 
外形寸法:W335×H1000×D448mm 重量:48.5kg


オンキョー雑感
ONKYO Concert  Junior ST-55 セパレートステレオがアンサンブルステレオに取って代わろうとしていた時代に、大阪音響の名を世間に知らしめたのが、右の卓上セパレートである。
 1966年(昭和41)、「暮らしの手帳」が特集した2万円台のステレオ商品テストで、総合一位の栄冠を射止めて大ヒット(¥21,500)。刺激を受けた各社は、この卓上セパーレートという新分野への進出を競った。その2年後、今度は、中堅機のセパレートステレオに初めてマルチアンプシステムを導入(MC2200/¥136,000)。これにまた、各社が一斉に追従するという構図になり、セパレートステレオはマルチアンプ一色に染まった。こうした先手狙いが功を奏したのも、企業リーダーの音への情熱と、それに応える技術者の息が合っていたからに違いない。

 大阪音響の創立は、ソニーやケンウッドと同じ終戦の翌年。一時はテレビの生産も行なっていたが、ノンプレスコーンユニットの特許技術によって、ラジオは「オンキョー」との評価を得た(コーン紙を自社生産していたのは、ダイヤトーンとオンキョーのみ)。以降は、ステレオブームの追い風を受けて、1971年に、ブランドであるオンキョーを社名とした。この時期を挟んで、最も印象に残ったモデルが、ここに紹介した一連の製品である。
 話しは重複するが、1969年に登場して、一躍注目された「E-83A」とセプターユニットの誕生に始まり、1990年のホーン搭載最後のモデル「SCEPTER-2000」まで、足掛け21年の歳月は、オンキョーがホーンユニットとそのシステムの技術の高さをアピールするために費やされた時代であった。

 ホーンシステムの撤退は、コストに見合わない、という単純な理由であったと思う。若者の関心は、もっぱらゼネラルオーディオ(ミニコンポやヘッドホンステレオ)に集中し、ピュアオーディオの支持層が激減した頃である。それとも、JBL志向のユーザー層には、くい込めないと分かっての撤退であったのかも知れない。
また、1993年には、東芝との36年間に渡った資本関係を解消している。
 ともかく、その後のオンキョーは、スピーカーよりもAVアンプの多くで新境地を拓いてみせた。 また後年、次世代
CDのSACDが注目されるなかで、CD専用プレーヤー「C-1VL」の名作を残した。(¥105,000)
ONKYO C-1VLさらに、PCオーディオへの進出も目覚ましく、 ハイレゾ(高音質)音源配信サイトを開設。2015年には、パイオニアのAV部門を買収して現在に至る。



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INDEX

1881〜1945
立体音の発見と
二つの源流

1946〜1957
日本の戦後復興と
Hi-Fiへの熱き試み

1958〜1965
幕を開けた
ステレオの時代

1966〜1970
開花する日本の
独創技術

1971〜1980
4チャンネル騒動と
成熟の頂きに立った
コンポーネント

1981〜1990
AV時代の到来と
CDの登場
INDEX

*国内ブランド
ACCUPHASE
AUDIO TECHNICACORAL
DENON
DIATONE
EROICA & UESUGI
FOSTEX
GRACE
LIVING AUDIO
Lo-D
LUXONKYO
PIONEER & EXCLUSIVE
SANSUI
SONYSTAXTECHNICS
TRIO & KENWOOD
VICTOR (JVC)YAMAHA

アンサンブルステレオと
セパレートステレオ


*海外ブランド 
ALTECAR
GOODMANSJBL
JORDAN WATTSMARANTZ
MclNTOSH
ORTOFON
SMETANNOY







 
















 

 

 















































































































































 







































































































































































































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