ステレオの産業史|サンスイ
格子グリルのスピーカーと
ブラックフェイスのアンプは一世を風靡。
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SANSUI サンスイ電気株式会社


サンスイ SAX-300
1965(昭和40年) 
SAX-300 レシーバーアンプ ¥49,500
唯一の3極管レシーバーとして、スピーカーを選ばぬ素性の良さ。
 この1965年は、オーディオアンプの主流であるレシーバーが、球から石へ移行する過度期であった。中でも早かったのがトリオ(現・JVCケンウッド)である。石の優位性を派手に宣伝してはいたが、実際にはスピーカーを選ぶ傾向が強く、音にも改善の余地が多く残されていた。サンスイはそれを十分に承知していたと思う。出力管には、「6RA8」を使用し、イコライザー部には石を採用するといラックス SQ38Dった新しい試みが、SNの改善にも功を奏した。
 出力管の6RA8といえば、ラックスのインテグレーテッドアンプ「SQ38D」(¥54,500)がすでに発売され、評価を高めていたが、出力においては、ラックスの10W×2に対し、サンスイの「SAX-300」の方が、14W×2と勝り、総合的にみても、レシーバーとして、引け目を感じさせない音に仕上がっていた。
実効出力:14W+14W 消費電力:200W(最大時) 
外形寸法:W460×H150×D328mm 重量:17.7kg



サンスイ AU-1111965(昭和40年) 
AU-111 管球式インテグレーテッドアンプ ¥65,000
サンスイの力量を遺憾なく示した管球式最後のインテグレーテッドアンプ。
 これまで、一眼レフカメラの分野では、ブラックボディーが存在したが、オーディオアンプの世界で、ブラックパネルを採用したのは、この「AU-111」が最初であろう。その目の付け所に、サンスイの並々ならぬ意気込みを感じたものである。そして、後に登場する一連のアンプデザインの原型となった。
 ともかく、出力管は「6L6GC」のプッシュブル動作で、実行出力45W×2、歪率0.8%、国産の球のプリメインで、これに匹敵するモデルは、後にも先にも、この「AU-111」のみである。
実効出力:45W+45W *消費電力:280W(最大時) 外形寸法:W460×H170×D345mm 重量:24.5kg


サンスイ SP-LE8T1966(昭和41年) 
SP-LE8T
バスレフ型 20cmフルレンジスピーカーシステム 
¥49,500(1台)
JBLの名作「LE8T」をサンスイがシステム化。
オリジナルの「ランサー44」よりも高い評価を。

 この年、サンスイはJBLと総代理店契約を結んだ。この選択が、アンプが主だったサンスイからスピーカーシステムの名作が生まれるきっかけになった。
 サンスイの技術陣が、JBLのサウンド・ポリシーと技術に、相当の刺激を受け発奮したことが、この「SP-LE8T」の出来栄えに良く現れている。改めて説明するまでもなく、名作ユニット「LE8T」を、サンスイ設計のパイプダクトによるバスレフ型の箱に収めたもので、JBLのオリジナルモデル「ランサー44」(¥56,400)に相当した。
 箱の容積は、サンスイの方が気持ち僅かに大きく、パイプダクトのチューニングも良好で、オリジナルのランサーよりも低域の音像の明瞭さにおいて勝っていたようだ。
JBL LE8T




 また、この頃よく言われた「箱はオリジナルに限る」といった偏った見方を覆し、フルレンジシステムとしては、異例ともいえるロングランを誇った。そして、今日でも、衰えを知らぬ中古人気の高さは驚くほどである。
外形寸法:W358×H596× D300mm 
重量:18.3kg


サンスイ SP-1001966(昭和41年) 
SP-100 バスレフ型 3ウェイ 3ユニットスピーカーシステム ¥21,100(1台)
ライバルメーカーを震撼させたヒットモデル。
 「SP-LE8T」が、どちらかというと玄人好みのシステムであったのに比べ、この「SP-100」は一般向けを狙ったサンスイ初のシステムであった。これが手ごろな価格の本格的な3ウェイで、音のバランスが良く、自然な音色の響きが受けて、たちまち人気スピーカーのトップに踊りでたのである。しかも、サンスイのトレードマークになった格子グリルのスピーカーが、売場に置かれると、どのメーカーのものよりも引き立って見えた。
テクニクス 5HH17 このヒットのバックボーンになったのが、上記の「SP-LE8T」である。JBLのシステムからパイプダクトによるバスレフ効果のノウハウを会得したことが、他社の密閉ブックシェルフの音とは明らかに違う鳴りっぷりの良さに現れていた。続く姉妹機の2ウェイモデル「SP-50」(¥14,400)も評判となり、ライバルメーカーを震撼させたのである。
 なお、この二つのシステムに使われたホーンツイーターは、彼の有名なテクニクスの「5HH17」で、サンスイの成功以来、各社は自社のシステムに挙って採用した。
使用ユニット:25cmウーファー、12cmコーンスコーカー、5cmホーンツイーター
クロスオーバー周波数:1,500Hz、5,000Hz 外形寸法:W358×H620×D300mm 
重量:15.7kg



サンスイ AU-777
1967(昭和42年) 
AU-777 インテグレーテッドアンプ  ¥57,000
サンスイ初の半導体アンプ。スピーカーを生き生きと鳴らすドライブ能力でヒットモデルに。

 この頃のサンスイは乗りに乗っていた。格子グリルのスピーカーや、ブラックパネルのアンプにしても、競合を寄せ付けないほどの強みを見せた。この「AU-777」も、サンスイが初めて手掛けた半導体アンプでありながら、スピーカーを選り好みすることもなく、実に上手くドライブした。さらにユーザーを惹き付けたのは、ご覧のとおりの豊富なコントロール機能が、マニアック感覚で巧みにレイアウトされていたことであろう。その後、「AU-777D」に改良されて、トリプルトーンコントロール(低音・中音、高音)機能が加わるなど、多機能の特徴を徹底させていった。
実効出力:30W+30W 消費電力:165W(最大時) 外形寸法:W435×H155×D334mm 重量:12.3kg

サンスイ QSD-1
1974(昭和49年)
QSD-1
 
4チャンネル シンセサイザー デコーダー ¥89,000
QS方式で4chステレオを主導してきたサンスイのデコーダーは、
総合特性でビクターのディスクリート方式を超えていた。
サンスイ QS-1
 1970年、世界に先駆けて発売された、マトリックス方式4chの「QS-1」(右記写真)は、リアスピーカーを加えるだけで、これまでの2chソースを4chの音場に変えるとの触れ込みで、ブームの火付け役になった。その後もオリジネーターとしての主導的な立場を貫き、改良に努めて完成させたのが「QSD-1」である。
 初代「QS-1」のチャンネルセパレーションが、僅か3dB程度であったものを、「QSD-1」では、専用のデコーダー用IC(日立との共同開発)によって、一気に20〜30dBの飛躍的なスペックに押し上げたのである。ちなみに、このスペックは、日本ビクターが総力をあげて開発したディスクリート方式と肩を並べ、マトリックス方式ならではの自然な音場とSNの高さでは、ディスクリート方式を優に超えていた。
 しかし、繚乱の4チャンネル論争に巻き込まれ、主導の立場にあったサンスイまでが、4チャンネルから手を引かざるを得なかったことは残念であった。それでも、サンスイのマトリック方式は、1975年のイギリス映画「トミー」のサウンドトラックに採用され、後のホームシアター用サラウンドへと進化を遂げたことは見逃せない。
チェンネルセパレーション:隣接チャンネル/20dB、対向チャンネル/30dB 再生周波数帯域:20〜30,000Hz 
外形寸法:W482×H89×D304mm 重量:6.6kg


サンスイ LM-0331976(昭和51年) 
LM-033 バスレフ型 2ウェイ 2ユニットスピーカーシステム  ¥37,000(1台)
独創的なLMツイーター搭載したシリーズのトップモデル。デザインも良く価格も手ごろ。
 「LM」とは、「Linear Motion」の略で、ツイーターの動作方式から付けられた名称であるが、サンスイは、これを総称してLMスピーカーシステムと呼称していた。それはともかく、この独創的な方式は実に興味深く、これまで存在しなか
ったものである。
 従来、コーン型のスコーカーやツイーターの場合、コーン背面の逆相音圧を打ち消すことと、ウーファーの音圧を避けるために、バックキャビティーでコーン背面を密閉する使い方が通常であった。ただ、そうすると、キャビティー内
LM-033 ツイーターの構造図部の空気がバネとして働き、入力信号に対してコーンが鋭敏に反応しにくくなる。また、放射音圧にも無駄の生じることが分かったのである。
 この問題を根本的に解決し、中高域の総合特性と音質の向上をはかって開発されたのがLMツイターであった。その仕組みは右図のとおり。ユニットとバッフルの一体構造で、その中に設けられたホーンから、ユニット背面の音が放出される。これにより、微小入力においてもコーンが鋭敏に反応するになった。その効果は、活き活きとした音の表情に表れていた。勿論、ウーファーもこのLMツイータの特性と音に合わせて、多重コルゲーションを持つユニットが新たに開発されて採用された。
使用ユニット:25.5cmウーファー、6.5cmコーンツイーター 
再生周波数帯域:34〜20,000Hz クロスオーバー周波数:1,500Hz 
外形寸法:W310×H710×D304mm 重力:18.7kg


サンスイ AU-D9071978(昭和53年) 
AU-D907 インテグレーテッドアンプ  ¥142,000(キャリングハンドル別売)
サンスイ初のDCインテグレーテッドアンプのトップモデル。一時の低迷を乗り越えて高い評価。
 サンスイは4chの開発に人的資源を振り向けていたせいか、オーディオアンプの開発が停滞しているではないかと思わせる時期があった。その間、競合各社のアンプは着実にDC化が進行していたからである。それにトライするには、音質とデザインの総合面で、水準を超えたものでなくてはならない、と考えるのは当然のことであろう。
そうした意味でも、これまでのサンスイのアンプとは、一線を画したグレードの高い仕上がりを見せた。
 デザイン面では、従来のヘアライン加工のブラックパネルから、一眼レフカメラのボディのように、つや消しのフィニッシュに一新され、つまみとパネルのエッジ部分に丸みを持たせた形状は、見た目にも美しく操作感触が良い。もちろん、パネルレイアウトも申し分なく、スピーカーのドライブ能力も、先行するDCアンプの水準を大きく超えていた。
実効出力:100W+100W 消費電力:250W 外形寸法:W430×H168×D455mm 重量:20.8kg

サンスイ AU-X1
1979(昭和54年) 
AU-X1 インテグレーテッドアンプ ¥210,000サンスイ AU-X1
パワー部重視の高級プリメインとして
独自のポジションを築く。

 20万円を超すプリメインはサンスイが初めてではないが、このモデルの出現によって業界に高級プリメイン指向の弾みを付けたと言ってもいい。
 ともかく、そのこだわりが凄い。パワー部の独立2電源は常道としても、それがプリ、イコライザー部にまで徹底している。
 それらをまとめたコンストラクションは、ご覧のとおり、一寸の隙もないほどだ。そして、特別仕様の大容量電解コンデンサーが、一際、目を惹く。
 当然、スピーカーのドライブ能力は素晴らしく、当時としては、JBLを最も上手く鳴らすプリメインの一つであった。
実効出力:160W+160W(4Ω)、220W+220W(4Ω) 消費電力:400W 外形寸法:W480×H195×D450mm 重量:27.7kg


サンスイ雑感
 アンプの自作が当たり前であった時代、信頼に足るトランスを探すとなれば、「東京にサンスイあり、関西にラックスあり」と言われた。この道の玄人筋が昔を偲んでよく口にした言葉である。その後のステレオブームの到来で、両社の辿った道は180度違うものの、決して奇を衒うことのない正攻法なモノづくりの姿勢には、共通するものが多くあった。また、アンプを主体とした専業メーカーが、スピーカーの分野にも進出し、成功して例はサンスイ以外には見当たらない。中でも、組み格子のシステムとセパレートタイプのステレオは、まさに一世を風靡。これに呼応するかのように人気をさらったのが、一連のブラックフェースのアンプ群である。
 これらの人気を支えたのは、勿論、音とデザインの良さに裏打ちされてのことだが、サンスイは、媒体ごとの広告戦略やパプリシティーの展開においても巧みであった。ちなみに、サンスイが広告等に登場させた歴代の有名人の名を挙げると、三橋達也(俳優)、島津貴子(昭和天皇第五皇女)、ビック・モロー(米俳優)、芥川也寸志(作曲家)、浅丘ルリ子(女優)、新珠三千代(女優)、林寛子(タレント)と多彩である。
 なかでも、サンスイのブランドを広く一般に知らしめたのが、メインスポンサーとして名を連ねたフジテレビの歌番組「夜のヒットスタジオ」であろう。また同時期、FM放送の「サンスイ・ミュージック・ジョッキー」や「音楽家と語る」の提供番組を持つなど、その急成長ぶりに、業界は驚いたものである。


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INDEX

1881〜1945
立体音の発見と
二つの源流

1946〜1957
日本の戦後復興と
Hi-Fiへの熱き試み

1958〜1965
幕を開けた
ステレオの時代

1966〜1970
開花する日本の
独創技術

1971〜1980
4チャンネル騒動と
成熟の頂きに立った
コンポーネント

1981〜1990
AV時代の到来と
CDの登場

INDEX

*国内ブランド
ACCUPHASE
AUDIO TECHNICACORAL
DENON
DIATONE
EROICA & UESUGI
FOSTEX
GRACE
LIVING AUDIO
Lo-D
LUXONKYO
PIONEER & EXCLUSIVESANSUI
SONYSTAXTECHNICS
TRIO & KENWOOD
VICTOR (JVC)YAMAHA

アンサンブルステレオと
セパレートステレオ


*海外ブランド 
ALTECAR
GOODMANSJBL
JORDAN WATTSMARANTZ
MclNTOSH
ORTOFON
SMETANNOY






 















 

 

 




































































































































































































































































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*海外ブランド|ALTECARGOODMANSJBLJORDAN WATTSMARANTZMclNTOSH
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