ステレオの産業史|日本ビクター #2
レコード産業と共に歩んだその源流は、
アメリカビクターとRCA。
< 欲しいが見つかる !! ポイント貯まる !! >


VICTOR (JVC) 日本ビクター株式会社(現・株式会社JVCケンウッド)
#1 / 1954〜1958 * # 2 / 1966〜1970 * #3 / 1970〜1977 * #4 / 1979〜2009



ビクター PST-1000
1966(昭和41年)

PST-1000 
7素子SEA内蔵コントロールアンプ ¥145,000
録音スタジオなどで使われるプログラム・イコライザーを組み込んだ本邦初のコントロールアンプ
 前年ソニーが、これまでにない高級路線のコンポーネントをラインナップしてオーディオ市場に参入。それに比べ、長らくアンサンブルステレオを主力にしてきたビクターは、一般にホームステレオの企業イメージが強かった。それを一気に覆したのが、この国内最高価格のセパレートアンプの登場であった。プリとしての出来もさることながら、プログラム・イコライザーの SEA( SOUND EFFECT PERFORM-ANCE )を効果的に使いこなせば、スピーカーの特性を大幅にコントロールできというもの。後にこのSEAは、同社のセットステレオを始め、アンプのほとんどに装備された他、単体のSEAも、その都度改良されて新しいモデルが登場した。
SEA可変周波数(±10dB):60Hz、150Hz、400Hz、1,000Hz、2,400Hz、6,000Hz、15,000Hz 消費電力:3W 
外形寸法:W480×H150×D345mm 重量:11kg


ビクター MST-1000
1966(昭和41年)
MST-1000 
パワーアンプ ¥145,000
価格は飛び抜けて高かったが、そのパワークォリティーは他の国産アンプと比較するべきものがなかった。
 トランジスター化された国産のパワーアンプで、マランツの「Model15」やJBLの「SE-400S」に比肩するパワークオリティーを備えていたことは驚きであった。しかしながら、問題はそのデザインで、見ての通り試作機と見紛う無骨なつくりには、二の句が継げなかった。
実効出力:60W+60W(8Ω)消費電力:300W 外形寸法:W480×H150×D345mm *重量:16.3kg


ビクター BLA-601967(昭和42年)
BLA-60
密閉型 3ウェイ 4ユニットスピーカーシステム
¥198,000(1台)

長年のトーキーシステムの技術を
活かして、生演奏とレコード再生の
すり替え実験に使用されたシステム。

 戦前はRCAの日本ビクターであり、戦後はRCAの技術協力を受けていたビクターが、国内のトーキーシステムの分野で、独自のポジションを築いていたことは、前にも触れた。
 そして、ステレオの需要が高まった時期には、「原音探求」を企業スローガンに掲げ、ジャズの生演奏と再生音の公開すり替え実験に挑戦して、技術力の高さをアピールしていた。
 1966年には、50名編成の日本フィルの生
演奏と、特製レコードによる再生のすり替え公開実験にエスカレートし、東京の虎ノ門ホールで行われている(下記参照)。
 その実験に使われたのが、RCAの技術を継
承したコニカルドーム付きの40cmウーファ
ーと、ホーン・ドライバーからなる「BLA-60」であった。駆動アンプは上記のセパレートアンプで、カートリッジには同社のIM型、「IM-1E」(¥14,000)が使われた。
使用ユニット:40cmウーファー
 セクトラルホーン+ドライバー、
 ホーンツイーター×2

再生周波数帯域:15~20,000Hz
クロスオーバー周波数:400Hz、6,500Hz
外形寸法:W620×H1,000×D523mm
重量:77kg


RCA LC1A
生演奏と再生音の
すり替え実験の元祖はRCA。


 RCAがこの実験を行なったのは、大戦の終了から2年目の1947年のこと。RCAの音響学者、H・F・オルソン博士のチームがボストン交響楽団の生の音と、テ
ープによる再生音のすり替え実験をマサチューセッツ州のタングルウッドで行な
ったのが最初である。
 まず、実験の準備として、オーケストラの各パートに12本のマイクと同じ数ののモニタースピーカー「RCA LC1A」をセットし、録音された再生音の強さと、生のオーケストラの音が等しくなるように調整され、すり替え用の録音テープがつくられた。
 本番では、生演奏の途中からテープの再生音に切り替え、モニタースピーカーから音を流した。その間、オ
ーケストラのメンバーは演奏の振りをするわけである。この公開実験を取材した新聞記者は、ほとんどの聴衆がすり替えに気付かなかったと報じた。実験を監督したオルソン博士は、生のオーケストラの音をスピーカーで再現できることを、この実験で実証したのである。
生の音とレコード再生のすり替え実験
「原音探求」をスローガンとした
ビクターの挑戦。


 ビクターがすり替え実験を最初に行ったのは、RCAの実験成功から13年後の1960年のこと。藤家虹二クインテットの生演奏とテープのすり替えであった。
 第2回は。5年後の1965年、北村英治クインテットの生演奏とレコード再生のすり替え。そして翌年、日本フィルのメンバー50人による生演奏とレコード再生のすり替えが、東京の虎ノ門ホールで行なわれた。
 すり替えに使われたレコードは、いずれの場合も市ビクター MCP-200販品ではなく、すり替え会場で録音し、カッティングした特製品。スピーカー「BLA-600」の数は、RCAの実験と同じ12台が使われた。
 会場には、報道陣と評論家、ビクター特約店とそのユーザーの招待客1,621名がホールを埋めた。演奏曲はビゼーのカルメン「ハバネラ」。途中でレコードにすり替わったことに気付いたのは僅か14人。すなわち1%以下であったとして、ビクターは実験の成功を謳った。
 但し、生の演奏は、マイクから拾った音をスピーカーからも流すわけで、純然たる原音比較ではない、とする意見も根強くあった。それでも、先端の再生技術を体験してもらうイベントとしての意義は、大きかったのであろう・・・・。それに当時は、今と違って、オーディオの意識や知識が低かった。そのことが、幸いした、といえるであろう。



ビクター MCM-200/SEA-200/CF-200
1967(昭和42年)
システムアンプ構想で、
マニアの心を捉えた200番シリーズ。
 システムアンプ(スピーカーのマルチアンプドラ
イブ)という構想は、すでにソニーが実現していたが、それよりも安く、しかも上級機並みの音質を保持し、小型化をはかる、というコンセプトにおいて、この200番シリーズは過不足なく、巧くまとめられてられていた。
 プリのMCP-200とパワーのMCM-200中心に、SEAイコライザー、クロスオーバーネットワーク、さらに、パワーアンプを加えて、音を高めてゆく楽しみは、当時のマニアにとっては格別なものであった。設計者はそれを良く心得ていたと思う。

MCP-200 コントロールアンプ ¥32,000
とりわけ、フォト入力のイコライザー部が優秀で、機能も必要かつ十分なものであった。

MCM-200 パワーアンプ ¥39,800
17W✕2のパワーに、不足感はあっても、音のクオリティーそのものは、価格を超えていた。

SEA-200 SEAイコライザー ¥37,000
周波数を50Hz、250Hz、1,000Hz、3,000Hz、15,000Hzの各ポジションでコントロールできるSEAイコライザー。

CF-200 クロスオーバーネットワーク ¥36,000
使用するスピーカーに合わせて、クロスオーバー周波数(12dB/oct)を5つのポジションで選択できた。また、2ウェイ、3ウェイの他に、3D(センターウーファー)にも対応していた。


ビクター AST-140T
1967(昭和42年)
AST-140T
 レシーバーアンプ ¥59,800
トリオなどのレシーバーに共通するHiFi強調型の性格とは対照的に、音は上質で音楽性に富んでいた。
 木製ケースのせいもあろうが、かなりの大柄。クロスダイヤルと名付けられたチューニングスケールは、お世辞にも見やすいとは言い難いし、背面の入出力端子の処理もお粗末で、ホームラジオのセンスであった。おまけに、JBLのコントロールアンプ丸写しのスライドつまみ(形状もレタリングもそっくり)と、グラフィックコントローラーという名称までパクってしまうとは何たることか・・・。ともかく、これらの事に目をつぶれば、同価格帯のレシバーの中では、ピカいちの上質な音質で、どのようなスピーカーも一様に上手く鳴らした。
実効出力:12W+12W(8Ω)消費電力:15〜83W 外形寸法:W483×H165×D320mm 重量:9.5kg


ビクター GP-1H1967(昭和42年)
GP-1H
完全無指向性密閉型
2ウェイ8ユニット
スピーカーシステム
¥36,000(1台)スタンド別売

誰もが考えそうで
果たせなかった無指向性の
理想をビクターが実現。

 このシステムが発売されて間もなくの頃、東京赤坂のホテルニュージャパンにあるバーの天井から、この「GP-1」が吊り下げられていた。
 会話が邪魔にならない音量なのに、音の明瞭さと、自然な音場感にびっくりしたものである。
 以来、無指向性システムは、ブ
ームの兆しを見せ、ソニーやパイオニアなどが相次いで商品化したが、形状や構造からして、ビクターの「GP-1」を超えるものではなかった。記憶に残るビクター製品群の中で、唯一、現代に復活させたい価値あるシステムであると思う。なお、初期モデルのツイーターはホーン型であったが、「GB-1H」でコーン型に変更された。
使用ユニット:13cmウーファー×4、ホーンツイーター×4 再生周波数帯域:35〜20,000Hz  
クロスオーバー周波数:3,500Hz 外形寸法:340φmm 重量:9.5kg 

ビクター BLA-405
1970(昭和45年)
BLA-405
密閉型 4ウェイ4ユニット・スピーカーシステム ¥43,800(1台)
アメリカAR社のエアーサスペンションを模したシリーズのトップモデル。
 本システムが登場する以前に、いわゆるARタイプとして、パイオニアの「CS-10」(¥57,0000)の評価が定着し、一方、アメリカのコンシュマー・レポート誌で高得点をマークしたダイナコの「A-25」(¥37,000)が、日本にも輸入されて好評を博していた。それだけに、後発のビクター「BLA-405」は、盛り沢山のセールスポイントを誇るように登場した。広告コピーには、「銘木ダグラスファーのエンクロージャーで聴く王者の音色」とある。この手のコピー表現は疑ってみるべきである。そもそも、バッフル面はユニットで埋まり、ダグラスファーの実質面積は6割にも満たない。他はすべてパーティクルボードである。それでも、見た目の仕上げは美しく、4ウェイをそつなくまとめて単独の試聴には納得できる音であった。
 しかし、関税がついてビクターよりも安いダイナゴの「A-25」と実際に音を比較してみると、ビクターの音には生気が欠ける。ダイナゴは25cmウーファーとドームツイーターの2ウェイで、箱などもそっけないほどのつくりである。なのにダイナゴは音楽の鳴りっぷりがいい。つまり、技術やデータの優位性が、いい音を保障するものではないことを、このビクターのモデルで知ることになった。
使用ユニット:30cmウーファー、16cmスコーカー、5cmツイーター、ホーンツイーター 再生周波数帯域:35〜20,000Hz  
クロスオーバー周波数:600Hz、6,500Hz、15,000Hz 外形寸法:W365✕H635✕D320mm 重量:20kg 
備考:マルチアンプ用出力端子付き


#1 / 1954〜1958 * # 2 / 1966〜1970 * #3 / 1970〜1977 * #4 / 1979〜2009

ご意見メール! 気ままにお寄せください・・・ads@jcom.home.ne.jp

INDEX

1881〜1945
立体音の発見と
二つの源流

1946〜1957
日本の戦後復興と
Hi-Fiへの熱き試み

1958〜1965
幕を開けた
ステレオの時代

1966〜1970
開花する日本の
独創技術

1971〜1980
4チャンネル騒動と
成熟の頂きに立った
コンポーネント

1981〜1990
AV時代の到来と
CDの登場

INDEX

*国内ブランド
ACCUPHASE
AUDIO TECHNICACORAL
DENON
DIATONE
EROICA & UESUGI
FOSTEX
GRACE
LIVING AUDIO
Lo-D
LUXONKYO
PIONEER & EXCLUSIVESANSUI
SONYSTAXTECHNICS
TRIO & KENWOOD
VICTOR (JVC)YAMAHA

アンサンブルステレオと
セパレートステレオ


*海外ブランド 
ALTECAR
GOODMANSJBL
JORDAN WATTSMARANTZ
MclNTOSH
ORTOFON
SMETANNOY






 











































































































































































































































このページのトップ

*ステレオの産業史|TOP PAGE1881〜19451946〜19571958〜19651966〜19701971〜19801981〜1990
*国内ブランド|ACCUPHASEAUDIO TECHNICACORALDENON
DIATONEEROICA & UESUGIFOSTEXGRACELIVING AUDIOLO-D
LUXONKYOPIONEER & EXCLUSIVESANSUISONYSTAXTECHNICSTRIO & KENWOOD
VICTOR (JVC)YAMAHA
 |アンサンブルステレオとセパレートステレオ
*海外ブランド|ALTECARGOODMANSJBLJORDAN WATTSMARANTZMclNTOSH
ORTOFONSMETANNOY

当ホームページに掲載の画像及び文書の無断転載を禁じます。Copyright (C) 2018 ステレオの産業史 All Rights Reserved.