ステレオの産業史 1966〜1970
開花する日本の独創技術
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The History

この年を機に、テクニクス、日本ビクター(JVC)から、ハイグレードモデルが相次いで登場。
前年、ソニーが高級コンポ市場に本格参入したことで国内の有力メーカー各社は、それを上回るモデルを相次いで発売。そのどれもがアメリカの高級機と互角に勝負できる実力をものにしていた。
Technics 100p / Technics 5
テクニクス、トーンアームの弱点を根本から解消。
我が国初のリニアトラッキング・プレーヤーユニット。

カッターヘッドと同様に、アームがレコードの中心を直線移動する。当然トラッキングエラーとインサイドフォースによるトレーシング歪は限りなく少ない。カートリッジのコンプライアンス特性が優れていれば針圧1gで安定にトレースした。
(¥60,000/カートリッジとケースは別)。

テクニクス、高級市販ユニットを大型密閉エンクロー
ジャーにアッセンブリーした3ウェイの本格派。

当時、YL音響のオールホーンシステムを除けば、国内最高価格のシステム。テクニクスのレコードコンサートで、その優れた音は広く一般にも知られた。(1台¥98,000)

Technics 30A / 20A テクニクスの底力を
みせた管球式セパレートアンプ。

マランツ「#7」を超えたとの評価「Technics 10A」
使用真空管「12AX7」をトランジスターの整流回路から完全直流点火させることでフォノ入力からのダイナミックレンジの拡大とSN比の大幅な改善を成し遂げた。(¥74,000)
LR独立2電源方式のOTLパワーアンプ「Technics 20A」
出力管「50HB26」を5本並列に合計20本を使用した弩級クラス。後に各社アンプの主流になる「左右独立2電源」と「OCL方式」をすでに実現していた。定格出力は16Ω負荷で60W×2。出力管を半分に切り替えて、小出力で使うこともできた。(¥135,000)

LUX MQ36
ラックスらしさに溢れた3極管OTLアンプ。

「Technics 20A」と肩を並べる力作で、しかも、手慣れた見事なつくりである。 出力管には双3極管「6336A」をSEPP回路で使用したAB級動作。出力は16Ω負荷で25W×2。
残念なことに当時のラックスには「MQ36」に見合う優秀なプリがなかった。(¥128,000)

日本ビクター(JVC)、国内最高価格のTRセパーレートアンプを発売。
これでホームステレオの企業イメージを払拭 。
Victor PST-1000 / MST-1000左右独立7素子のトーンコントローラー装備 PST-1000
音の変化を自在にコントロールできるスタジオ仕様のSAEイコライザーは、オーディオアンプとして初の試み。後の同社製アンプの多くに標準装備された。(¥145,000)
電源部重視設計のパワーアンプ MST-100
当時としては異例の80W+80W(8Ω負荷)のハイパワー。上記のプリとのコンビで生演奏のすり替え実験で威力を発揮。しかし、デザインと仕上げはどう見ても試作機のレベル。(¥145,000)

オンキョーの卓上ステレオ、「暮らしの手帳」商品テストでトップの評価。
2万円台の大手各社のステレオを一堂に集めた商品テストで、オンキョーの卓上ステレオが総合点で第1位。たちまちヒット商品に。 「暮らしの手帳」は、商業主義を排し、ユーザー視点の編集方針が高く評価され、1956年に菊池寛賞を受賞。

FM fan 創刊号初のFM番組情報誌「FM fan」創刊。

FM局はNHKとFM東海の2局のみであったが、ステレオの定時番組も増え、隔週の詳細な番組表は欠かせない存在となった。後にオーディオ情報も充実、長岡鉄夫氏の新製品レポートが定番となる。
ステレオサウンド創刊号と第2号
季刊誌「ステレオサウンド」創刊。
巻頭のエッセイを作家の五味康祐氏。オーディオ解説を瀬川冬樹氏。という編集スタイルが定着。第2号より表紙デザインをグラフィック・デザイナ
ーの田中一光氏が手掛け、高級誌のイメージ化に成功。マニアとその予備軍に与えた影響は大きい。一冊480円だった。

日本ビクター(JVC)、日本フィルの生演奏とレコード再生の公開すり替え実験に挑戦。

この実験には社内でも危ぶむ声があったという。幕をあけてみれば、すり替えに気付いた人は1621名中わずか14名。場所は東京の虎ノ門ホール、指揮者は服部克久。ただし、オーケストラの音は、マイクから拾った音をスピーカーから流したもので、純然たる生演奏との比較ではない、とする意見もあった。

ソニー、世界初の家庭用カラーVTR「VO-1700」発売。(¥358,000)
04/:ソニー、東京銀座にソニービルオープン。
06/29:ビートルズ来日。翌日から3日間の武道館コンサートで動員された警察官は連日6,000人。
第3回チャイコフスキー国際コンクールのヴァイオリン部門で、潮田益子2位、佐藤陽子3位。
朝日新聞の1000万円懸賞小説に選ばれた三浦綾子著の「氷点」(’64年12月、朝日新聞に連載開始)が、
 人間の原罪をテーマにベストセラー。テレビドラマと映画もヒット。

SANSUI  SP-100サンスイのコンポーネントに人気集中。

前年に発売されたサンスイのスピーカー・システム「SP-100」
(1台¥21,000)が爆発的なヒットを続け、生産台数の新記録を樹立。音の良さもさることながら、手作りの格子を採り入れたフロントグリルのデザインは一世を風靡。
さらに勢いは止まらず、姉妹モデルの「SP-50」をはじめ、初のソリッドステート・プリメインアンプ「AU-777」(¥57,700)を筆頭にシリーズアンプも、次々とヒットの仲SANSUI AU-777間に加わった。

当時のサンスイは、音楽を生き生きと鳴らすサウンドポリシーとデザインの統一が見事に一貫していた。競合他社にとっては脅威であり、サンスイの人気独走を許すのである。

日本ビクター(JVC)老舗の貫禄。潤沢な技術力を屈指してサンスイに対抗。
注目のコンポーネントを送りだす。
Victor MCP-200 /MCM-200
片手に乗る大きさの斬新なシステムアンプ。
コントロールアンプ、パワーアンプ、チャンネルデバイダー、SEAイコライザーの4機種からなる。その中核となるコントロールアンプ「MCP-200」(¥32,000)とパワーアンプ「MCM-200」(¥39,800)は、内容、音質ともに価格を超えるレベルにあった。Victor AST-140T
落ち着いた音の良さで評価。
レシーバー AST-140T

音は良くてもスライドつまみはJBLの丸写し。グラフィックコントローラーの名称までパクってしまった。(¥59,800)
大型のフロアー型スピーカーシステム BLA-60Vivtor BLA-60
オーケストラの生演奏すり替え実験に使われた密閉型の大型フロアーシステム。RCAの技術を基に、わが国で唯一、シアター用のスピーカー・システムを供給してきた長年の技術が活かされた。(1台¥206,000)
Victor GB-1世界でも類のない完全無指向性
スピーカーシステム GB-1

極めて自然なステレオ感はこれまで体験し得なかったもの。この独創技術は今でも立派に通用する。
(1台¥36,000)

PIONEER C-600

パイオニア、セットステレオに
新風。モジュラーステレオ

アンサンブル型ステレオを居間に飾り、レコードを家族団らんで楽しむ時代は過去にものになった。音楽鑑賞は自分の部屋でひとり、という若者の生活スタイルを演出して登場したモジュラー型。
パイオニアの「C-600」は、その先駆けモデルとなった。以降、各社の主力製品となる。(¥104,000)
SOUND LABORATORY SERIES
日本コロムビア、クラシックの45回転LP発売。
新録音ではなく、既存のマスターを新たに45回転でカッティングし直したもの。帯域の上限が約2倍、ダイナミックレンジも5.2dB(約2倍)アップするとあって、短くなった再生時間には目をつぶり、「音」最優先の音キチ諸氏に受けた。のちにジャズも登場。

パイオニア、日本経済新聞のイメージ調査で1位にランク。
赤塚不二夫のニャロメ言葉が社会現象化。新左翼にもニャロメ派が登場。
レナウンのTVCM「イエイエ」がフィーリング時代の到来を告げる。

サンスイステレオ雑誌広告サンスイの好調は止まるところを知らず。
オーディオ御三家と言われたサンスイ、トリオ、パイオニア3社のなかで、広告戦略を巧み展開し、勢いに乗ったのが「サンスイ」。
広告における著名人の起用、FMステレオ放送の番組提供、そしてこの年、日活の看板女優浅丘ルリ子(後に新珠三千代)をイメージキャラクターに抜擢。また芳村真里、前田武彦の司会で人気を博したテレビの歌謡ショー「夜のヒットスタジオ」のメインスポンサーに名を連ね、サンスイのブランドを広く知らしめた。
*写真は雑誌「太陽」に掲載された広告。
 女優浅丘ルリ子がサンスイのマルチ・チャンネル方式の
 セパレート・ステレオの前で微笑む・・・。


ヤマハ、コンポーネント市場に本格参入。
オーディオの分野でしばらく鳴りを潜めていた日本楽器(当時の社名)がエレクトーンのトランジスター技術とピアノの木工技術、また、関連の楽器づくりに深く関わる合金・化学技術などを基盤に、セット物を含む活況のコンポーネント市場に本格参入した。
第一弾となったのは、ピアノの反響板をヒントに生まれた世界でも類ののない発泡樹脂の楕円型大型ウーファー搭載のシステム。ナチュラルなな響きで新しいユーザー層を惹き付けた。(1台¥48,000)
次いでインテグレーテッドアンプも登場。

LUX SQ505 / SQ38Fラックス、半導体アンプと
三極管アンプで成功をつかむ。

TRアンプの優位を音で示した SQ505
意匠の見事さもラックスならでは。翌年「大阪デザインハウス」選定の最優秀賞を受賞。(¥58,000)
TRアンプで成功を収めたラックスが、あえて商品化した
三極管のインテグレーテッドアンプ SQ38F

絹ごしのような滑らかな音色とほど良い解像力。その魅力は新しい世代にも受け入れられた。特に英国タンノイIIILZを巧みに鳴らすアンプとして名声を確立。(¥78,000)

PIONEER SX-100TDパイオニアのレシーバー、
アメリカ「コンシューマー・リポート」誌で高得点の評価。

写真はその改良モデル。音、操作性、デザインなど、どこをとってもレシーバーとして不満がない(¥73,800)。デザインは、当時パイオニアの嘱託でインダストリアデザイナーだった瀬川冬樹氏。
ステレオ芸術創刊号
ラジオ技術社、季刊誌「ステレオ芸術」創刊。
音楽之友社「レコード芸術」の対抗馬として創刊。ユニークな新譜月評の編集方針から次第にオーディオ中心の編集に変わった。なかでも、説法師の風貌で悩めるマニア宅を訪問し、スピーカー・ボックスの裏側をコンクリートのドブ板で補強する荒治療を実践した山崎謙氏の連載行脚は異色であった。(1988年廃刊)

CBSとSONY合併ソニー、アメリカ最大のレコードレーベルCBSと
ソフト音楽事業の合弁会社CBSソニー(SME)設立。
これで日本コロムビアは、半世紀以上続いたグループ最大のレーベルを失う。この設立時、邦楽部門では、移籍歌手を迎えずほぼゼロからのスタート。天地真理、南沙織らのアイドル路線が当り、さらに山口百恵、キャンディーズ・・・。洋楽では、マイケル・ジャクソン、マライア・キャリーらのスパースターを擁し、10年でビクター音楽産業(ビクターエンタテイメント)の売り上げを抜き、日本音楽ソフト業界の頂点に立った。

ノイマンSX68ノイマンのカッターヘッド、CBソニー(SME)とテイチクが導入。
従来のカッティングシステムに比べ、マスター音源をレコード原板に忠実カッティングすることができるため、ダイナミックレンジ、チャンネルセパレーション、SN比が格段に向上。この音を、五味康祐氏は「唾棄すべき音・・・」と評したが、さにあらず、マスターさえよければ、音の分解能は驚くほどに良くなった。

日本のGNP、西ドイツを抜き世界第二位に。
川端康成、日本人初のノーベル文学賞受賞。1972年、72歳で自殺。

デジタル元年。NHK技研が世界初のデジタル・レコーダーによる公開実験に成功
主にアメリカのオリジナル技術を応用して、放送機器の国産化をはかってきたNHK技研にとっては、画期的な新技術の幕開けとなった。レコーダーの大きさは事務机ほどの大きさで、部品代だけでも500万円を超えたと言われる。開発の総指揮にあたったのは、技研音響技術部長の中島平太郎氏。のちに、ソニー技術研究所・初代所長に迎えられ、CD開発の陣頭指揮を執ることになる。

Technics SU-50テクニクス、OCL方式を取り入れた初のトランジスター
プリメインアンプ。他社に与えた影響は大きい。

OCL方式とは、アウトプップトランスとアウトプットコンデンサーを取り去って、これに起因する歪を「0」にしようとするもの。デザインは、マッキントッシュ張りパネルで注目。(¥95,000)

SONY ST-5000Fソニー、FMチューナーの水準を一気に押し上げる。
フロントエンドのFET化で、FM局と受信側をケーブルで繋いだかのような音の良さと安定度を実現。長らくリファレンス・チューナーとして、高い評価を堅持。(¥98,000)

GRACE F-8Lグレース(品川無線)、MMカートリッジ F-8L。「ステレオサウンド」誌、
第12号のカートリッジ・ブラインド試聴でトップの評価。
試聴に供されたのは内外40のモデル。代表的なものをざっと挙げれば、
デノン「DL-103」、フィディリティリサーチ「FR-1」、シュアー「V-15TypeII」、ADC「10E」、オルトフォン「SPU-GT」、EMT「TSD15」など、並み居る一流の音の中で示された「F-8L」の結果に、テスターの評論家諸氏もメーカー名を明かされて唖然。ともあれ、このF-8Lは、NHK技研の協力で’66年に登場したMMカートリッジ。自称マニアなら必ずリファレンス・カートリッジの一つに加えていた。(¥12,500)

06/:パイオニア、輸出振興により内閣総理大臣賞を受賞。
07/21:アメリカのアポロ11号、人類初の月面着陸。
当時のソニー副社長、盛田昭夫著の「学歴無用論」がベストセラー。
丸善石油のTVCMが大受け。モデル小川ローザのミニスカートがクルマの走り抜ける風でふわり。 
 すかさずスカートを抑え「Oh!モーレツ!」。仕事社会のモーレツぶりを皮肉る風刺でもあった。

Technics SP10テクニクス、世界を驚かす。
ダイレクトドライブ・ターンテーブル発売。

回転するものには、必ず音を汚す振動が発生する・・・。この常識を覆したのが世界で初めて実用化されたダイレクトドライブ・ターンテーブル。レコードの回転数と同じ低速モーターで振動を無くし、回転精度を電子回路で制御。これでレコード再生の理想に一歩も二歩も近づいた。(¥82,000)

Stax UA-7実用針圧1.5グラム以下を実現。
高感度アームの代表作。

*スタックス UA-7
’70年代を迎えると、わが国のトーンアームにもSMEを凌ぐユニバーサル型アームが登場する。スタックスの「UA-7」はその代表。梃子式のインサイドフォース・キャンセラーも、扱いやすさと正確さで「SME」を超える。別売のオプションアームで、同社のコンデンサー・カートリッジが使用できるメリットも見逃せない。UA-7本体(¥19,500)
fidelity research FR-24*フィディリティ・リサーチ FR-24 MK2
MCカートリッジ「FR-1」と同時に発売され、後にアームエベレーション機能を設けた改良型。軽針圧アームとしての実績が見逃せない。FR-24 MK2(¥15,000)

SANSUI QS-1サンスイ、4チャンネルステレオブームに火をつける。
後方用のスピーカー2台を加えれば、2チャンネルステレオが4チャンネルステレオになる、という触れ込みで注目を集めたクォードフォニック・シンセサイザー「QS-1」(¥39,900)
翌年、日本ビクター(JVC)のCD-4と、ソニーのSQ方式が参入。他にも各社各様の4チャンネル方式が、雨後の筍の如く登場した。


06/:ソニー、7年連続で輸出貢献企業に認定。
カーペンターズ、「遙かなる影」でグラミー賞の最優秀新人賞と最優秀ボーカルグループ賞を受賞。
 13年後の1983年、リードボーカルのカレン・カーペンター(32)の急逝は、世界に衝撃を与えた。

03/13:日本万国博覧会、大阪で開幕。
11/25:行動作家、三島由紀夫氏、自衛隊市ヶ谷駐屯地(防衛省)で割腹自殺。

The Year

1966
昭和41年














































































1967
昭和42年
























































1968
昭和43年





























































1969
昭和44年






























1970
昭和45年


































INDEX

1881〜1945
立体音の発見と
二つの源流

1946〜1957
日本の戦後復興と
Hi-Fiへの熱き試み

1958〜1965
幕を開けた
ステレオの時代

1966〜1970
開花する日本の
独創技術

1971〜1980
4チャンネル騒動と
成熟の頂きに立った
コンポーネント

1981〜1990
AV時代の到来と
CDの登場
INDEX

*国内ブランド
ACCUPHASE
AUDIO TECHNICACORAL
DENON
DIATONE
EROICA & UESUGI
FOSTEX
GRACE
LIVING AUDIO
Lo-D
LUXONKYO
PIONEER & EXCLUSIVESANSUI
SONYSTAXTECHNICS
TRIO & KENWOOD
VICTOR (JVC)YAMAHA

アンサンブルステレオと
セパレートステレオ


*海外ブランド 
ALTECAR
GOODMANSJBL
JORDAN WATTSMARANTZ
MclNTOSH
ORTOFON
SMETANNOY







 
























 

 





















































 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





















 










































































































































 

 





















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DIATONEEROICA & UESUGIFOSTEXGRACELIVING AUDIOLO-D
LUXONKYOPIONEER & EXCLUSIVESANSUISONYSTAXTECHNICSTRIO & KENWOODVICTOR (JVC)YAMAHA
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*海外ブランド|ALTECARGOODMANSJBLJORDAN WATTSMARANTZMclNTOSH
ORTOFON
SMETANNOY

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