ステレオの産業史|ALTEC #2
プロフェッショナル・ユースの分野で
揺るぎないポジションを築いたアルテック。
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ALTEC Altec Lansing Technologies, Inc
#1 / 1946〜1970 * #2 / 1975〜1980


アルテック 604-8G
1975(昭和50年)アルテック 601 
604-8G DUPLEX 38cm 2ウェイ同軸ユニット 
¥121,000(ネットワーク付属)

レコーディング・モニターの先駆となった
デュプレックス2ウェイ同軸ユニット。
 2ウェイ同軸という理に適った「デュプレックス」(コアキシャル・ユニット)のプロトタイプ「601」(右の写真)が登場したのは1941年こと。この年は、アルテック・ランシング社が設立された年であり、記念すべき第1号モデルになった。また、タンノイのデュアル・コンセントリック・ユニットの開発にも影響を与えた。
 「601」は3年後に「604」になり、上記のモデル「604-8G」は、それから数えて6代目に当たる。主な改良点は、クロスオーバー周波数(1,500Hz)における高域ドライバーのスロープ特性が12dB/octから18dB/octに変わったこと。さらに、アッテネ
ーターのコントロール範囲がプラス・マイナス20dBに拡大されたことである。
604-8G カットモデル
 評論家、岩崎千明氏(故人)が「604」について雑誌「スイングジャーナル」に記した面白いエピソードがある。時代は戦後まもなくの銀座松坂屋の裏にあったジャズ喫茶での話だ。『あの時のキッド・オーリーのトロンボーンうなりはすごかったな。本物と聴き間違えたくらいだった。このスピー カーの前に立つまでは』と言うものである。
 この当時、一般のルートで「604」を入手することなど至難であったから、米軍の払い下げ品か、その方のルートで手に入れたものであろう。「604」を追想するには、これに勝る話はない。1973年当時の「ビルボード」誌は、レコーディング・スタジオで最も広く使われているユニットとして紹介した。しかし、1928年のCD登場以降、時代は急速にデジタル化の波に洗われ、併せて録音プロデューサーやミキサーの世代代わりもあって「604」を見ることがなくなった。それから、かなりの歳月が経つ・・・。
クロスオーバー周波数:1,500Hz *再生周波数帯域:20〜20,000Hz 出力音圧レベル:102dB 
インピーダンス:8Ω 重量:15.4kg



アルテック 612C MONITOR1977(昭和52) 
612C MONITOR 
バスレフ型 モニター・スピーカーシステム
¥295,000(1台)

純然たるモニター(検聴)仕様。
音楽鑑賞用としては不向きな面も・・・

 箱の外観に変更はあっても、1950年頃に登場して以来、基本的には何も変わず、フィニッシュはグレーのラフなラッカー塗装で、元々が、ホームユースとしてのつくりではない。なお、このモデルから、アッテネーターが前面に付き、調整が楽になった。
 箱は十分な強度を持ち、重量は見かけよりも重く53kgある。音はフラット志向の国産モニターと比べればかなり個性的で、フィージョン系のたぎるような音の表現はさすが。反面、クラッシクでは過多に響き、抑制に欠ける。
 モニター(検聴)とは、本来そうあるべきかも知れない。無難に鳴るだけではモニターの役を果たせないし、ミキサーの感を狂わすことになる。
出力音圧レベル:104dB/W
外形寸法:W648×H749×D508mm 重量:53kg
他の特性は、下記の「620A MONITOR」と同じ。




アルテック 620A MONITOR1977(昭和52年)
620A MONITOR 
バスレフ型 モニター・スピーカーシステム
¥358,500(1台)

ホームユースとして使用しても
満足度の高い豊かな響き。

 箱の容積が、上記の「612C」より124%ア
ップ。それに箱のプロポーションが変わったことによる音の変化は大きい。クラッシク系のソースが落ち着いた響きで鳴り、フィージ
ョン系のソースも魅力を失わなず、上質の豊かな音が楽しめる。価格が63,500円アップ
しただけの対価は十分にあると感じた。
 ところで、JBLのモニター系の音と比べると、音の響きに甘さを感じる。
 それでも、「620A」を単独で聴く分には、 十分に満足できる音といっていいだろう。当然のことながら、音の定位がピシっと決まるのは気持ちがいい。
使用ユニット;604-8G
クロスオーバー周波数:1,500Hz 
再生周波数帯域:20〜20,000Hz
インピーダンス:8Ω
出力音圧レベル:103dB/W
外形寸法:W660×H1016×D457mm
重量:62.6kg







アルテック Model 19
1977(昭和52年)
Model 19 バスレフ型 2ウェイ・3ユニット・スピーカーシステム ¥399,000(1台)
久々に登場したアルテック伝統の2ウェイシステム。
新機構のタンジェリングドラーバーによって、広域の特性を無理なく改善。

 前項で紹介した1970年に発売の「バルセロナ」(¥426,000)以来、2ウェイの伝統を踏まえた大型システムの登場は久方ぶりのことである。特に注目したいのは、ドライバーの高域特性が大きく改善されたことだ。
 それは、ダイアフラムを覆うフェイズ・プラグのスリットが、従来の円周状から放射状に改められことで、6,000Hz付近から減衰していた高域特性が20,000Hzまでフラットに再生できようになった。また、放射状の形状がオレンジに似ていることからタンジェリン・ドライバーと呼ばれた。 このように、アルテックの伝統が、デジタルの新しい時代に蘇ったとして高く評価できる音だ。なお外観は、低音部とホーン部が別れているが、内部ではつながっており、容積は十分にゆとりのあるものになっている。
使用ユニット;38cmウーファー416-8B、ホーン811B、ドライバー802-8G クロスオーバー周波数:1,200Hz 
再生周波数帯域:20〜20,000Hz インピーダンス:8Ω 出力音圧レベル:102dB/W 
外形寸法:W762×H990×D533mm *重量:64.9kg



アルテック Model 6041コーラル H-100
1980年(昭和55年) 
Model 6041 バスレフ型 4ウェイ・3ユニット・スピーカーシステム ¥698,000(1台)
半世紀以上に渡り、2ウェイを確固たるテクニカルポリシーとしてきた
アルテック。それを打ち破った革新の4ウェイモデル。

 アルテックがJBLの「4343」の系譜を意識しなかった、といえば嘘になるだろう。オピニオンたる評論家、 そしてマニア諸氏の熱き関心は、まるでドミノ倒しのようにJBLへと傾いていった。かくも、世評の力とは凄いものである。
 この「6041」は、影の薄くなったアルテックが威信をかけて作り上げたモデルであることは確かで、「JBL4343」の緻密で鮮度の高い音とは対照的に、ほど良く熟成された豊かなな響きは、やはりアルテックの個性で見事な説得力を持つ。
それだけに、JBLもどきのサランのデザインはいただけない。なお、初めてアルテックのシステムに採用された注目のスーパーツイーターは、コーラルの「H-100」をモディファイしたものである。
使用ユニット:38cmウーファー416-8B、38cm2ウェイコアキシャル604-8H、ホーンスーパーツイーター 
クロスオーバー周波数350Hz、1,500Hz、8,000Hz

 


アルテック雑感
 アルテックと「映画の音」は切っても切れない。我が国のオーディオ黎明期から’70年代の活況期にいたるまで、「映画の音」と「オーディオ」を包括的に関連付けて解説する評論家はいなかった。唯一の例外は「ステレオサウンド」誌のレギュラー執筆者、岡俊雄(故人)氏と、同誌で、洒脱なショートストーリーや「うえすたん物語」等を連載した伊藤喜多男(故人)氏のお二方ぐらいであろう。
 岡俊雄氏は、元「映画の友」の編集員であり、サントラ盤のライナーノートにおいても信頼に足る博識の持ち主であった。一方、伊藤喜多男氏は、ばんカラの江戸っ子で、戦後ウェストレックスに職を得た「映画の音」の生き字引的存在で、名出力管によるアンプづくりの達人でもあった。
 映画から、ステレオの魅力に取り憑かれた小生にとっては、両氏の書き記したものが、良き道標として役立ったことは間違いない。そして、アルテックサウンドは、永いこと最も身近な憧れの音であった。
 そのアルテックが、サウンドトラックのデジタル化に遅れをとり、1980年以降、主力工場を次々と閉鎖。2005年には、世界有数のヘッドセットメーカー「プラントロニクス」に買収されて、事実上、映画産業と歩んだアルテックの伝統と技術は時代と共に去った。なんとも曰く言い難い現実である。


#1 / 1946〜1970  #2 / 1975〜1980
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INDEX

1881〜1945
立体音の発見と
二つの源流

1946〜1957
日本の戦後復興と
Hi-Fiへの熱き試み

1958〜1965
幕を開けた
ステレオの時代

1966〜1970
開花する日本の
独創技術

1971〜1980
4チャンネル騒動と
成熟の頂きに立った
コンポーネント

981〜1990
AV時代の到来と
CDの登場
INDEX

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AUDIO TECHNICACORAL
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DIATONE
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SONYSTAXTECHNICS
TRIO & KENWOOD
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アンサンブルステレオと
セパレートステレオ


*海外ブランド 
ALTECAR
GOODMANSJBL
JORDAN WATTSMARANTZ
MclNTOSH
ORTOFON
SMETANNOY







 










































 

 

 



















































































































































































































































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