ステレオの産業史|JBL #3
時代を超越したクラフトマンシップと、見事な音の造形で
多くのオーディオ・パーソンを魅了したJBLサウンド。
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JBL James B.Lancing Sound Inc.

#1 / Speaker System * #2 / Speaker System * #3 / Speaker Unit  #4 / Amplifier


JBL D175/H-10001947(昭和22年)
D175 /
H-1000 
ドライバー&マルチセルラホーン 価格不詳
 
JBL創立時のドライバーホーン。
  元アルテックの技術担当副社長、ジェー
ムズ・バロー・ラシングが、ジム・ラシング社を創業し、自ら設計して発売した記念すべきモデル。 下記の38cmフルレンジとウーファーの他、ネットワークとエンクロージ
ャーが同時にラインナップされた。
 ドライバー「D175」は、 「LE175」の原型モデルで、800〜18,000Hzの広帯域特性を実現していた。ホーンは、バッフルマウントを前提に設計されているため、アルテックのホ
ーンと比べると、驚くほどに小さい。
  翌年には、CBSが世界初のLPレコード発売し、本格的なHiFi時代の到来を告げた。


JBL D1301947(昭和22年)
D130 
38cnフルレンジユニット ¥56,100(1966年当時)
現代にあっては扱いにくいが、堂々たるJBLサウンドの源流。
 これもラシングの手になる。103dBの高能率を実現したアルミリボン線のエッジワイズ巻ボイスコイルと、メタルドームの共振を利用して聴感上の高域の不足感を補う構造は、後々、わが国のユニットに大きな影響は与えた。勿論、ローコンプライアンスのユニットゆえに、200〜300リッタークラスのバスレフ型エンクロージャーか、バックロードーホーン型を必要とするが、解き放たれた音の実在感はJBLサウンドの源流である。

JBL 130A1947(昭和22年)
130A 38cnウーファーユニット 
¥52,800(1966年当時)

  「130A」は、「D130」のセンタードームを取り去
ったもので振動系とマグネットは同一。 後に登場するLE系のウーファーの方が、物理特性の面で優れるが、これはこれで十分な魅力を持つ。
 200リッター以上のバスレフ型で巧くチューニングをとれば、朗々と鳴る感じが心地よい。
 なお、 70年代後半のモデルからは、 アルニコマグネットの原材料の一つであるコバルトの供給が止まりフェライトに変わった。

1950(昭和25年)JBL 175DLH
175DLH 
ドライバー・音響レンズ一体ホーン
¥71,000(1966年当時)
 
水平垂直45°をカバーする
優れた指向特性。

 発売初期のドライバーには、前述の「D-175」が使われ、後に、よりワイドレンジの「LE175」に変わった。 推奨クロスオーバーは1,200Hz。それでも、ホームユースで使う限りは、800Hzからでも十分に使える。 ただ、後のモデルでは、 ホーンの長さが、かなり短くなってしまった。

JBL 537-509
1953年(昭和28年)
537-509
音響レンズ付き角形ホーン
¥00,000(0000年当時)

角形ホーンは固有の癖を持つ。
それでも、なんとか手なずけて
みたい魅力がある。
 モノラル時代の名作「ハーツフィールド」で、ドラーバー「375」とのコンビで使われた。
 一時期、製造が中止されたが後に復活。半世紀を経た今も、その姿は見事だ。ただ、この角形ホーンは、音道内で定在波が発生しやすくて癖があり、いささか扱いにくい。
 ホーン内部にフェルトを貼るなどの処理をしたうえで、バッフルにマウントすることが必要だ。推奨クロスオーバーは500Hz以上で、スロート径は5cm。また、スロートアダプターを介せば2.5cmのドライバーも使えた。




1953年(昭和28年)JBL 375
ドライバー ¥125,000(1966年当時)
名実ともに世界最強のドライバー「375」。
 「375」のルーツは、ウエスタンのトーキー用ドライバー
「594」(1936年)に遡る。ラシングはこれを範に、大型
のホーンと組合わす強力ドライバー「288」をアルテック時代に実用化していた。この「375」は、それを上回る最強ドライバーである。より強力なマグネットを使用し、スロート部と大口径ダイアフラムとのギャップの精度を高めて、低い周波数で生じる歪を軽減させた。これで大型ホーンへの依存を解消したのである。
 そこで、「375」を使ったステレオ時代のJBLの名作、
パラゴンを見てみると、クロスオーバーが500Hzと低い割にはホーンの小さいことが良く分かると思う。さらにオリンパスになると、直接放射に近いショートホーンであることが、それを実証している。ともかく、過度特性の良さは比類がない。 高域は10,000Hzぐらいまで伸びているので、ソースによっては2ウェイも可能だ。


JBL 0751956(昭和31年)
075 ホーンツイーター¥38.600(1973年当時)
手にとって眺めるのもよし、鮮烈な音に酔うのもよし。

 LPの高音質化とFM先進国のアメリカにおいて、人間の可聴帯域
の上限近くまで再生できる「075」が登場は必然であった。それでも
‘50年代半ばに、こうした本格的なツイターが出てきたことは注目
に値した。「075」が登場した翌年には、LPがステレオ化され、パラゴン、オリンパスの歴代システムに使われた。
 なお、使い方の基本は二通りある。まずは「375」または「LE85」と7,000Hzでクロスさせる3ウェイと、フルレンジの「D130」クラスと2,500Hzでクロスさせる2ウェイである。とりわけ、2,500Hzの低いクロスで、「075」の鮮烈な個性をたっぷりと引き出したときの生々しいシンバルの響きなどは、他に比べるべきものがない。


JBL LE15A
1957(昭和32年)
LE15A 38cmウーファー ¥70,800(1968年当時) 
JBL初のハイコンプライアンス強力ウーファーの名作。
 JBLがLEシリーズとして初めて投入した低foのハイコンプライアンス・ウーファーの名作。パラゴンとオリンパスに使われたウーファーとしても知られる。エンクロージャーは、比較的小型の密閉型でも使えるが、本領を発揮させるには、170リッターほどのバスレフ型が好ましい。ただ、ロールエッジが経年劣化に弱いのが玉に瑕。

JBL LE85
LE85 ドライバー ¥79,800(1966年当時)
いかなるホーンと組み合わせても
まずは期待を裏切らない。

 最強ドライバーの「375」よりも一般的には扱いやすい。ダイアフラムの口径が小さくなった分、高域徳性が良くなり2ウェイでも無理なく使えて、まずは期待を裏切らない。また、「375」用のホーンがスロートアダプターを介して使えるという配慮も見逃せなかった。


1962年(昭和37)
HL91/ HL92 
音響レンズ付きホーン
HL91¥21,000(1981年当時) HL92¥24,000(1981年当時)

誰にでも間違えなく使え、ドライバーの素性の良さを
ストレートに引き出す。

JBL HL91/HL92
 スロート径 2.5 cmのドライバ
ー、「LE175」と「LE85」の標準ホ
ーンで、特に感心し、また不思議に思うのは、音像がバッフル面に浮き立つことである。
 どちらも、推奨クロスオーバーは、800Hz以上とされているが、ホームユースに限定すれば、 500
Hzからでも使えて、 ドライバーの素性の良さをストレートに引き出す。ただ、小さなバッフルに取り付けた例を見掛けるが、これは絶対に良くない。なお、ホーンの長い「HL92」は、 1年ほど後に登場した。
 わが国に与えた影響は大きく、オンキョー、コーラル、コロムビア、サンスイ、ヤマハなどが、この基本構造を挙って踏襲し、一つの時代を形成した。

JBL LE10A
1962年(昭和37)
LE10A 
25cmウーファー ¥31,200(1966年当時) 
自作に最適な50リーターほどのバスレフ型で、十分な低音を引き出す。
 超低foのハイコンプライアンスウーファーで、バスレフ型エンクロージャーとのチューニングを上手くとれば、この口径からは信じられぬ低音を引き出せる。これを基にシステムを組むには、JBLのユニットでまとめるのが常道であると思うが、評論家の井上卓也氏(故人)は、ダイヤトーンのローコストツイター「TW-23」(¥1,400)と組み合わせた2ウ
ェイで、かなりの成果があったと記していた。

JBL LE201962年(昭和37)
LE20
 5cmコーンツイーター¥19,300(1973年当時)
コーンツイターといえども、JBLの血統を持つ。

 コーンツイーターとしては、割高感の印象が強いが、「075」に
一脈通じる鮮烈な表現力は、国産の同類のツイターでは得られない個性であり魅力である。
 推奨クロスオーバーは2,500Hzとなっているが、大きなパワーを必要としなければ、さらに低くとることも可能である。組合わすウーファーは上記の「LE10A」が最適。


JBL LE8T 1962(昭和37年)
LE8T
20cmフルレンジユニット
¥38,000(1966年当時)

未だに支持者の耐えない
フルレンジの傑作ユニット。
 わが国に輸入されたフルレンジユニットの支持率の高さで、この「LE8T」を超えるものは、 まずないであろう。もちろん、国内のオーディオメーカーに与えた影響ははかり知れず、外観までそっくりの類似品が数多く出現した。
 ただ、「LE8T」で誤解されているのは、ジャズ向きという定説である。そんなことはなく、例えば、クラシック通の定番であったタンノイ「IIILZ」の弱点を十分にカバーし、シンフォニーを聴いても何ら不満はない。ソプラノ帯域においても分解能の高さがソノリティーの良さに表れている。 「LE8T」を使ったシステムのバリエーショーンは幾つかあるが、やはりサンスイ製の「SP-LE8T」が、ひとつのスタンダードであろう。勿論、それ以上の容積の箱に入れて可能性をさらに引き出すことは可能だ。

JBL pro.2397
1974(昭和49年)
pro.2397 ディフラクションホーン¥52,900(1974年当時)スロートアダプター別売
音の回折効果は、従来の
マルチセルラーホーンよりも格段に優れる。
 高密度パーチクルボードでつくられたこのホーンの音道は、仕切りのスリットが設けられた構造で、そのホーンカーブは、エクスポネンシャル(指数関係)ホーンの正確な理論に基づく。それによって、ホーンの開口部での音の回折効果は、従来のマルチセルラホーンよりも格段に向上した。理論はさて置き、見た目の扇形のカーブが実に美しい。音の性格は、金属製ホーンとは違った音声帯域の温もりを感じさせ、しかも、スカっとした音離れのよさを併せ持つ。
 ただセッティングで注意したいのは、ウーファーのバッフル面とホーン開口部を揃えるのは誤りで、音道内のスリット位置とバッフル面を揃えるのが正しい。クロスオーバーは500Hz以上。スロート径は5cmであるが、アダプターを介せばスロート径2.5cmのドライバーが使用できる。 わが国でこれを範としたものには、 エクスクルーシブや赤坂工芸のホーンがあった。

JBL 0771975(昭和50年)
077 スーパーホーンツイーター¥40,000(1975年当時)
強力型のスーパーツイーター。
自作用には「pro.2105」よりも扱いやすく
響きは艶やか。
 JBLがスーパーツイターという用途に限定した初のユニット。そ
れでも3,000Hzの下限帯域を無理なくカバーしている。基本的な構造は「075」をベースとしながらも、ホーンスリットの形状とイコライザーによって指向特性は格段に向上した。試しに、自作のJBLシステムに使っていた、この「077」を、当時、評価の高かったパイオニアのリボンツイター「PT-R7」に替えてみたところ、音の実在感が影を潜めて素っ気ない音に一変した。
 気になるのは、 プロ用の「2105」との比較だが、 「2105」は、金属っぽい硬質感(これがいいと言う評論家もいた)があり、インピーダンスが16Ωということもあって、一般的には、この「077」の方が扱いやすいし、響きは艶やかである。


JBLネットワークのカットモデル
このうえなく周到な設計。JBLのネットワーク群。
 JBLのユニットで、マルチウェイのシステムを組む場合、ネットワークについて無頓着ではいられない。すべての自社ユニットに適合するようにラインナップされたJBLのネットワークは、主役と同格のコンポーネントと呼びたい。
 JBLの歴代ユニットが、性能の追求から生まれた無駄のない魅力ある形をしているのと同様に、ネットワークも実に使い勝手のよい、魅力的な形にまとめられている。
 パーツ類は長期に性能を保持できるよう、ほぼ完全に密封され筐体に納められ、使用しているコンデンサーやインダクターも信頼性に溢れる。回路図は公表されていないが、インピーサンス補正や位相歪への配慮も万全と思える。
 ネットワークを教科書どおりに自作することは、誰にでもできる。しかし、ヒアリングを重ねながら、このレベルに近づけることは、まず無理であろう。


コンシューマーユニットとプロフェッショナルユニットの違いについての持論。
 1971年、 プロフェッショナル・シリーズのユニットが大挙してラインアナップされると、旧来のユニットは、 コンシューマー用として扱われ、プロシリーズよりもランクが下、という誤った見方が、オピニオンリーダーたるオーディオ評論家筋の中にまでまかり通った。また、そのような誤った傾向は、マニアの傾倒ぶりにも表れた。それを助長したオーディオ評論家は、前提とすべきプロシリーズの目的と用途に関する正しい情報の提供を疎かにしていた。それは編集者の手落ちでもあるのだが・・・。
 ともかく、プロシリーズのユニットは、PA需要(ポップス系のコンサートは、主にホールから野外のスタジアムに変わった0の増大に対応するためであり、また当時、アルテックの占有率の高かったスタジオモニター分野への進出をはかるJBLの戦略でもあった。耐久性においては、過酷な使用環境での条件を満たしていたことは確かである。しかし、ホームユースとして使用したときの音の差となると、微妙なところでそれぞれに一長一短があったり、また、感知できないレベルのものであったりと、単純にプロユニットがすべてに優位とはいえないのである。それでも、プロシリーズのユニットの方が優れるといった偏った評価がまかり通っていたことは事実として、ここに記しておきたい。


#1 / Speaker System * #2 / Speaker System * #3 / Speaker Unit *  #4 / Amplifier
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INDEX

1881〜1945
立体音の発見と
二つの源流

1946〜1957
日本の戦後復興と
Hi-Fiへの熱き試み

1958〜1965
幕を開けた
ステレオの時代

1966〜1970
開花する日本の
独創技術

1971〜1980
4チャンネル騒動と
成熟の頂きに立った
コンポーネント

1981〜1990
AV時代の到来と
CDの登場

INDEX

*国内ブランド
ACCUPHASE
AUDIO TECHNICACORAL
DENON
DIATONE
EROICA & UESUGI
FOSTEX
GRACE
LIVING AUDIO
Lo-D
LUXONKYO
PIONEER & EXCLUSIVESANSUI
SONYSTAXTECHNICS
TRIO & KENWOOD
VICTOR (JVC)YAMAHA

アンサンブルステレオと
セパレートステレオ


*海外ブランド 
ALTECAR
GOODMANS
JBL
JORDAN WATTSMARANTZ
MclNTOSH
ORTOFON
SMETANNOY






 





















 

 

 






































































 









































































































































































 










 

































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*国内ブランド|ACCUPHASEAUDIO TECHNICACORALDENON
DIATONEEROICA & UESUGIFOSTEXGRACELIVING AUDIOLO-D
LUXONKYOPIONEER & EXCLUSIVESANSUISONYSTAXTECHNICSTRIO & KENWOODVICTOR (JVC)YAMAHA
 |アンサンブルステレオとセパレートステレオ
*海外ブランド|ALTECARGOODMANS
JBLJORDAN WATTSMARANTZMclNTOSHORTOFONSMETANNOY


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