ステレオの産業史|ジョーダン・ワッツ
モージュールと名付けられた10cm口径のフルレンジで、
異色のシステムラインアップ。

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JORDAN WATTS Jordan-Watts. Ltd.


ジョーダンワッツのモジュールユニット1964年(昭和39年) 
MODULE UNIT(モジュール・ユニット)
10cm フルレンジスピーカーユニット ¥15,500
設計者、ジョーダンの確信が貫かれた
モジュールユニット。

 英グッドマン社の英明なるスピーカー・エンジニアとして、「AXIOM80」などの名作ユニットを手掛けたE・J・ジョーダンが、仲間のレスリー・E・ワッツと共に立ち上げたジョーダン・ワッツ社初の製品。長いこと、このユニットのみので、ここに紹介するシステム・バリエーションを展開させた。
 当時、シングルコーンのフルレンジユニットというと、わが国では16cm、アメリカとイギリスでは20cm〜30cm口径のものが主流であったから、この10cmというツイターのような小さな口径で、ハイファイたる音が鳴るのか疑問であった。特性図を見ても、カマボコ型の特異なカーブを描き、5,000Hz付近からだらだらと下降し、指向特性もよろしくない。それなのに高価。為替の事情があったとはいえ、ダイヤトーン「P610」の10倍もしたほどである。また、ジョーダン・ワッツ社のモジュールというコンセプトも、当時のマニア諸氏の中には実践する人が多くいた。こんな印象からも長らく興味の対象外にあったユニットである。
 ユニットの特長は、アルミ合金製のコーンと、その口径を上回るマグネットを背負い、コーンを支えるダンバーは、「AXIOM80」と同様の、ワイヤーカンチレバーによる3点支持構造が採れられている。その後、基本を変えることなくMKIIIまでマイナーチェンジが行なわれた。
再生周波数帯域:25~20,000Hz 最低共振周波数:41Hz 重量:3.6kg

ジョーダンワッツ ジャンボ1966年(昭和41年) 
JUMBO(ジャンボ) 

密閉型 10cmフルレンジスピーカーシステム ¥24,800(1台)

セカンドシステムとして、
聴き疲れしない上品なまとまり。

 「モジュール・ユニット」を使った第一弾のシステム「ミニ 12」、「ミニ12A」から、この「JUMBO」になった。柄は小さくても、音はジャンボという洒落なのだろう。容積は僅か6リッター。それにしても、こんな小さな密閉箱に押し込まなくてもいいと思うが、音は以外と適度な解像度を保ち美しい響きをもつ。
 ただし、実力をつけてきた国産の同価格帯システムと比べて、コストパフォーマンスは高いとはいえない。箱のフィニッシュは、チークとホワイトアイボリーの色違いが選べたが、デザインは、「ミニ12」の方が安っぽさがなく一種の趣きがあった。
使用ユニット:モジュールユニット
再生周波数帯域:70〜20,000Hz
外形寸法:W203×H420×D89mm
重量:6.8kg


ジョーダンワッツ ステレオラ DSP-1001967年(昭和42年) 
STEREOLA(ステレオラ) DSP-100
間接放射バスレフ型 10cmフルレンジ 8ユニットステレオスピーカーシステム ¥380,000

家具調コンソールの発想で作られたステレオスピーカーシステム。
 「モジュールユニット」をエンクロージャーの天板バッフルに6本、左右両サイドに2本を配し、角度可変のパネルに音を反射させてステレオの方向感を得るもので、シングルコーンユニットの特徴である音の定位感は望めない。
 この間接放射型といえるシステムは、日本ビクターが、モノラルとステレオが混在する時代のアンサンブル型ステレオに好んで採用した方式で、ライブな部屋であれば、モノラルでもムード的なステレオプレゼンスが楽しめた。ともかく、この38万円という価格を考えると、当時では、かなりハイグレードなコンポーネントを組み合わせてシステム一式が構成できたわけで、コストパフォーマンスの点では競争力に欠けていた。
使用ユニット:モジュールユニット×8 再生周波数帯域:不明 外形寸法:W1043×H745×283mm 重量:73.8kg

ジョーダンワッツ フラゴン1974年(昭和49年) 
FLAGON(フラゴン) 
バスレフ型 10cmフルレンジスピーカーシステム ¥45,000(1台)

オブジェとしての魅力と独創性。
 エンクロージャーに陶器を使用したのは、世界でもジョーダン・ワッツが最初であった。写真のモデルは、その2代目にあたる。陶器製のメリットは、不要な共振と定在波のないことが挙げられる。まあ、そうした理屈よりも、スピーカーを意識させないオブジェとしての魅力と、バックグラウンド用の贅沢なセカンドシステムとしては、貴重な存在であった。
使用ユニット:モジュールユニット
再生周波数帯域:60〜20,000Hz 
外形寸法:W330×H320×D165mm 
重量:6.1kg




ジョーダンワッツ ジュピター TLS1974年(昭和49年) 
JUPITER(ジュピター)TLS 
バックロードホーン型 2ウェイ 3ユニット スピーカーシステム ¥116,000(1台)

意欲的なシステムで、モジュールユニットの可能性を十分に引き出していたと思われる。
 奥行のスリムなバックロードーンシステムで、一般に見られるその構造とはかなり異なっていることが興味深い。ユニット構成は、「モジュールユニット」を並列にドームツイターを加えた、ジョーダン・ワッツ初の2ウェイシステム。ネットワークは、ツイターにハイパスのコンデンサーと減衰用の抵抗を入れただけのシンプルなもので、アッテネーターは設けられていない。この価格を考えると、他の選択肢は豊富にあり、市場競争では武が悪い。とはいえ、音の表情はかなり上質で棄て難い良さは確かにあった。
使用ユニット:モジュールユニット×2、ドームツイーター 再生周波数帯域:20〜20,000Hz 
外形寸法:W381×H876×D267mm 重量:34kg



ジョーダン・ワッツ雑感

 長いこと、英グッドマン社で才腕を奮い、異端の名作「AXIOM80」の設計者、E・J・ジョーダンが、仲間のレスリー・E・ワッツと1964年に起業したのが、このジョーダン・ワッツ社である。とにかく、発足当初から「モジュールユニット」一本やりで押し通し、エンクロージャーのバリエーションで種々のシステムを製品化するという、一風変わったラボラトリー的性格の強い組織であった。 
 この両者の人なりを知る資料は何もなく、正確に記すことはできない。ただ、これらのシステムをとおして見た場合、アマチュアイズムから一歩抜けきれないもどかしさが残る。オーディオ大国として躍進目覚ましかったころの日本市場をビジネスとして意識するならば、なおさらのことで、一部の好事家を相手にしては企業は成り立たない。
 1980年代に入いると、モジュールユニットのシステムラインナップから、PAの分野への進出も試みたようではあったが、その具体的な製品の登場を見ないままにジョーダン・ワッツのブランドは、やがて消えていった。それでも、ジョーダンの残した「モジュールユニット」は、一部の支持者に今もって大切に扱われ、美音を鳴らし続けているようである。それは、経年変化に強いアルミ合金の振動板と、ワイヤーカンチレバーのダンバーを持つ類いまれなユニット構造の所以であろう。


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