ステレオの産業史|タンノイ
基本を変えずに進化を遂げた
デュアル・コンセントリック・ユニット。
< 欲しいが見つかる !! ポイント貯まる !! >


TANNOY Tannoy Products LTD.


1953(昭和28年)タンノイ オートグラフ・エンクロージャー構造
オートグラフ
コーナー型 オールホーンスピーカーシステム 
¥520,000(1台)*価格は1977年当時
至高の響きと讃えられたオートグラフ。
気難しいことでも際立っていた。

 オートグラフの初代モデルが衆目の前に現れたのは、1953年、ニューヨークで開催されたオーディオフェアであった。搭載されたデュアル・コンセントリック・ユニット(38cm口径の同軸2ウェイ)は、やはり、同年に登場した2代目のモニターシルバーである。
 オートグラフの外観は、かなりアンティークなものであったが、ホーンの構造は、後のものとほぼ同じであった、といわれている。
デュアル・コンセントリック・ユニット カットモデル

















 さて、このオートグラフを日本で初めて購入し、至高の音を引き出して、その名を広く知らしめたのは、いうまでもなく、作家の五味康祐氏である。また、氏の文章に惹かれてオートグラフを購入した人も多いであろう。
 「ステレオサウンド」誌のレギュラー執筆者で、音楽批評の分野でも確かな見識をもっていた岡俊雄氏は、五味邸のオートグラフの音に触れ、「これまでに聴いたどのオートグラフよりもいい音で鳴っていた」と書き残している。その意味するところは、「部屋全体を響かせる相応の広さがなければならい」ということである。
 写真は、生前の五味氏が、オートグラフから、この上ない美音を
醸し出したリスニングルーム。 天井が
高く、太い梁が幾重にも渡されている。そして、清廉な部屋の趣が音の求道者
としての当時を偲ばせる。
(1980刊「ステレオサウンド」誌より)

歴代オートグラフの使用ユニットは、デュアル・コンセントリク・ユニットのモニターシルバ
ー、モニターレッド、モニターゴールドの3代に渡る。
外形寸法:W1,070×H1,525×D670mm 
重量:95kg






タンノイ レクタンギュラー・ヨーク/IIILZ
1961年(昭和36年) 
バスレフ型 スピーカーシステム 
レクタンギュラー・ヨーク 
¥175,000(1台)*価格は1968年当時 

最も鳴らしやすい上級システム。日本のレコード会社もモニターに採用。 
 これまでのデュアル・コンセントリック・ユニットが、モニターシルバーからモニターレッドに代わり、パワーリニアリティが一段と向上した。なお日本でのユニット価格は76,000円。また、ステレオの普及によって、これまでの主流であったコーナー型から、フリースタイルの型に移り変った最初のシリーズモデルとなった。タンノイといえば通説にクラシック系の音と評されてきたが、都会風の洗練されたジャズを以外と思えるほどに上手く鳴らしす。なお、日本コロムビアが一時期、レコーディングモニターに使用していた。
外形寸法:W597×H1,066×D368mm *使用ユニット:38cm口径/モニターレッド

1961年(昭和36年) 

バスレフ型 スピーカーシステム
IIILZ 
¥60,000(1台)*価格は1968年当時 ラックス SQ38F

ラックスのSQ38Fとは黄金の組合わせと評された。 
 当時、ブックシェルフタイプで、1台6万円というと、かなりの高額な印象を受けた。何しろダイヤトーンの「2S-305」が5万6千円で買えた訳である。しかも、良く眺
めてみれば、一見、何の変哲もないユニットが一つ付いているだけである。このシステムをクラシック好きの音キチに知らしめたのは、やはり、瀬川冬樹氏であったろうか。
 ステレオサウンド誌16号における氏の解説が面白いので紹介しよう。 『このスピーカーぐらい品の良い響きを聴かせる製品はめったいにない。透明で彫りが深くて、知性的な色気をもった音が、どうしてタンノイ以外のメーカーにつくれないのか。毎度べたほめという結果で申しわけありせん』といったぐあいだ。やがて同誌は、この「IIILZ」とラックス「SQ-38F」とのカップリングを黄金の組合わせと評して、度々、取り上げることになった。
外形寸法:W380×H583×D240mm *使用ユニット:25cm口径/IIILZ 重量:13kg

タンノイ アーデン
1976(昭和51年)
アーデン 
バスレフ型 スピーカーシステム ¥220,000(1台)/ ユニットのみ HPD385A ¥100,000 
新生タンノイの名を一般にも知らしめたレベル・コントローラー
シリーズのトップモデル。
 アメリカのハーマングループ傘下となったタンノイは、ブランドロゴも一新され、輸入元がシュリロからティアックに代わ
った。ユニットは、モニターゴールドからHPD(ハイ・パフォーマンス・デュアルコンセントリッック)となり、エッジがロールエッジになったことでfoが28Hzから20Hzに下げらた。
 さらに、コーン背面には、8本の補強リブが付き、硬性が増して分割共振歪みが減少した。ただ、当初は予期しなかったロ
ールエッジの劣化が予想外に早くて驚いた。この欠点だけを除けば、さすがに良く出来たシステムで、クラシック、ジャズを問わず、豊かであって芯を失わない艶やかな響きは、やはりタンノイの血統であった。
 なお、3年ほどのち、アルニコマグネットの原料であるコバルトの供給が世界的に止まり、シリーズ全てのマグネッ
トがフェライトに代わって、ホーンの音道がかなり短くなり、ユニットの単売もなくなった。
外形寸法:W660×H990×D370mm 使用ユニット:38cm口径/HPD385A 重量:43kg

タンノイ バークレイ
1976年(昭和51年)
バークレイ バスレフ型 スピーカーシステム ¥165,000(1台/ ユニットのみ HPD385A ¥100,000
アーデンの風格には負けても、それなりの良さが・・・。
 搭載のユニットはアーデンと同じだが、容積が4割方小さくなって、アーデンのような悠々たる豊かさは望めない。
それでも、本来の品位が変わるわけではなく、むしろ、ソリッドな質感を好むリスナーとの相性は良かった。
外形寸法:W540×H840×D310mm 使用ユニット:38cm口径/HPD385A 重量:32kg

タンノイ イートン
1976年(昭和51年)
イートン バスレフ型 スピーカーシステム ¥119,000(1台)/ ユニットのみ HPD295A ¥60,000
IIILZの現代版。口径が一回り大きくなり、低音の伸びにも不満がなくなった。
 このモデルの上級機に30cm口径の「HPD315A」を搭載した「デヴォン」(¥139,000)があったが、コストパフォーマンスは「イートン」のほうが勝るように思えた。控えめな音量でも帯域バランスがまことに良好で音が緻密。当時の国産3ウェイクラスのブックシェルフと比べれば、かなりの割高だが、それなりの対価は確かにあった。
外形寸法:W350×H520×D250mm 使用ユニット:29.5cm口径/HPD295A 重量:18kg

アメリカ・タンノイ ランカスター
アメリカ・タンノイ
ランカスター 

豊富なラインナップを誇った
アメリカタンノイ。

 1954年、タンノイがアメリカの市場に進出して創設したのがアメリカ法人のタンノイで、また、カナダにも同様の法人がつくられた。
 イギリス本国の少品種の製品構成とは大きく異なり、当時のアメリカニーズにそった様々なバリエーションモデルが豊富にラインナップされていた。
 写真のランカスターは、その中核をなすバスレフ型のモデルで、ユニットは、38cmと30cmのいずれかが選べた。その他には、38cmユニット2本をパラレルに使ったオートグラフや、同ユニットによる無指向性システムもあった。
 なお1974年、タンノイがアメリカのハーマングループの傘下となったため、アメリカ・タンノイは、已む無く幕を引くことになった




ロックウッド マジョール
1978年(昭和53年)
ロックウッド / マジョール 
バスレフ型 スピーカーシステム ¥498,000(1台)
アーデンと同一ユニットを使った
カスタムシステムで
英デッカがモニターに採用。

 ロックウッドは、イギリスのミドルセックス州にあり、エルトン・ジョンの出身地でもある。
少ない資料によると、カスタムメイドのスピーカシステムを専門に手掛けるプロダクツで、このマジョールが中核モデルであったようだ。
 搭載ユニットは「HPD385A」で、アーデンと同じである。ただ箱は、一回り大きい。
 その箱の形状は、一般的なバスレフ型と大きく異なり、バッフル裏面と左右側面の補強を兼ねた仕切り板を配し、ユニット背面の音が仕切り板を介して底面のスリットから抜ける仕組みである。それだけに、補強は完璧といった感じで、重量もアーデンより15kgも重い。
 なお、ロックウッドのモニターシステムは、フランスで広く使われるようになったという。
 本国イギリスでは、デッカが正式に採用したことで、本家のタンノイよりも、業界での知名度をあげたといわれる。
外形寸法:W710×H1,140×D445mm
*使用ユニット:38cm口径/HPD385A
重量:58kg




タンノイ雑感
 タンノイは1926年の創立。セレッションに次いでイギリスで最も長い歴史を有する。といっても、創業時のタンノイは、整流器の開発に成功して、その製造から始まった。タンノイの名の由来は、整流器に使用されたタンタル合金から名付けられたという。創立者は、かのオートグラフの開発者ガイ・R・ファウンテン氏である。

 第二次大戦時は、軍のPAシステムや通信機器の優秀性で名を高めた。そして、大戦後の1947年、今現在も基本構造の変わらぬユニットの誕生となるのである。その卓抜した構造は改めて触れる必要もあるまい。
 日本においてステレオが普及しだした1960年頃、我が国に輸入されるイギリスのスピーカーユニットというと、ワーフデルやグッドマンが主流で、タンノイのユニットといえば、さほど目立つ存在ではなかった。それもその筈で、邦貨で78,000円ともなれば、そうたやすく手にすることは叶わなかったのである。

 そこで、この雑感を書く方としては、やはり、五味康祐氏の話に触れないと、お座なりなの気分になる。これまで、氏は、原稿料を前借りしては、音に心血を注いできた。その氏が、オートグラフの存在を知ったのは、確か、ヨーロッパ旅行のおり、スイスの音キチ青年にカタログを見せられたのがきっかけであったらしい。帰国後、そのカタログの情報だけを頼りに、タンノイ社にエアメールで注文を出した。注文を受けたタンノイの担当者は、さぞかし驚いたにちがいない。あの敗戦国の日本にそんな御仁がいようとは、と・・・。1964年(昭和39)のことである。この年の秋から芸術新潮で「西方の音」の連載が始まった。そして氏のオートグラフへの求道は、多くの信者を惹き寄せたのである。

 さて、それから10年のち、タンノイは試練に見舞われた。高齢となった創立者のファウンテン氏は、自社株をアメリカのハーマングループに売却。それに追い打ちを掛けたのがユニット工場の火災であった。この試練から立ち直り、ア
ーデンの一連のシリーズで成功を納めた新生タンノイではあったが、企業ポリシーが大きく変わったせいだろう、後に出す製品の大半が短命で終わった。

 そうした経緯を経て、1981年、タンノイはハーマングループから株を買い戻し、イギリス資本のタンノイとして再びスタートを切ったのである。そして登場したのが、オートグラフの復活といわれた「ガイ・R・ファウンテン・メモリーと、ロンドン伝統の地名を冠した「ウェストミンスター」と「エジンバラ」であった。そして、今現在のタンノイが往年の伝統を守りつつ進化を遂げて、健在であることが何よりも喜ばしいのである。
2017年には、あのアーデンが、レガシー・シリーズとして復活を遂げた。
 

ご意見メール! 気ままにお寄せください・・・ads@jcom.home.ne.jp
INDEX

1881〜1945
立体音の発見と
二つの源流

1946〜1957
日本の戦後復興と
Hi-Fiへの熱き試み

1958〜1965
幕を開けた
ステレオの時代

1966〜1970
開花する日本の
独創技術

1971〜1980
4チャンネル騒動と
成熟の頂きに立った
コンポーネント

1981〜1990
AV時代の到来と
CDの登場
INDEX

*国内ブランド
ACCUPHASE
AUDIO TECHNICACORAL
DENON
DIATONE
EROICA & UESUGI
FOSTEX
GRACE
LIVING AUDIO
Lo-D
LUXONKYO
PIONEER & EXCLUSIVESANSUI
SONYSTAXTECHNICS
TRIO & KENWOOD
VICTOR (JVC)YAMAHA

アンサンブルステレオと
セパレートステレオ


*海外ブランド 
ALTECAR
GOODMANSJBL
JORDAN WATTSMARANTZ
MclNTOSH
ORTOFON
SMETANNOY







 




















 

 

 
























































































































































































 

 

 

 

 

 

 

 

 

 



























































このページのトップ

*ステレオの産業史|TOP PAGE1881〜19451946〜19571958〜19651966〜19701971〜19801981〜1990
*国内ブランド|ACCUPHASEAUDIO TECHNICACORALDENON
DIATONEEROICA & UESUGIFOSTEXGRACELIVING AUDIOLO-D
LUXONKYOPIONEER & EXCLUSIVESANSUISONYSTAXTECHNICSTRIO & KENWOODVICTOR (JVC)YAMAHA
 |アンサンブルステレオとセパレートステレオ
*海外ブランド|ALTECARGOODMANSJBLJORDAN WATTSMARANTZMclNTOSH
>ORTOFONSMETANNOY



当ホームページに掲載の画像及び文書の無断転載を禁じます。Copyright (C) 2018 ステレオの産業史 All Rights Reserved.